浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0134A01: | し。いづれも終焉の砌には。かならず如來に供し奉 |
| J18_0134A02: | りて。來り迎ふべしなど。面面にわかれを告らるる |
| J18_0134A03: | 事慇懃なり。同日福島より。門人愚信馳參りけり師す |
| J18_0134A04: | なはち。十念を授けわかれを述べ畢りて申さるるや |
| J18_0134A05: | う。愚信われに髮を剃てくるべし。往生極樂の首途 |
| J18_0134A06: | せんと思ふなりと。看病の者ども。いと氣の毒なる |
| J18_0134A07: | 事に思ひをれども。強に望み給ひし故。是非なく愚 |
| J18_0134A08: | 信そりて奉りぬ。廿五六日の頃よりは。手面を洗 |
| J18_0134A09: | ひ。口を漱がるる事。晝夜に數度なり。又便利の穢 |
| J18_0134A10: | あることなし。知死期の度ごとに。ことさら念佛を勤 |
| J18_0134A11: | められ。御手の糸を執りて。如來尊號甚分明。十方 |
| J18_0134A12: | 世界普流行。但有稱名皆得往。觀音勢至自〓迎五會讃 |
| J18_0134A13: | の文を唱へ。念佛の終には。願くは阿彌陀佛本願あ |
| J18_0134A14: | やまちなく臨終の時にはかならず。わが前に現じ給 |
| J18_0134A15: | ひ。慈悲を以て加へ祐て。正念に住せしめ給へと。 |
| J18_0134A16: | 稱へ畢りて十念相續し。すなはち御手の糸を上られ |
| J18_0134A17: | 侍りき。又師看病の者に對して。折折申されしは。 |
| J18_0134B18: | われ遁世の最初は。死縁無量なれは。道のほとり野 |
| J18_0134B19: | 邊の間にて。ひとり死する事もあるべしと兼て覺悟 |
| J18_0134B20: | せしに。思ひの外に。かく淸閑なる庵室にて。道塲 |
| J18_0134B21: | の莊嚴。臨終の行儀まで。心の儘に調へ隨侍の者あ |
| J18_0134B22: | また親切にいたはり給ひて目出たく終りを取る事。 |
| J18_0134B23: | ありがたき仕合なり。これしかしながら如來の御慈 |
| J18_0134B24: | 悲。をのをのの懇志ゆへと。宿縁の程も。思ひやら |
| J18_0134B25: | れて。嬉しく辱き由。諄諄禮謝し給ひけり。 |
| J18_0134B26: | 一同晦日の夜。小島村より。吉田氏酒井氏二人馳來 |
| J18_0134B27: | り。われら途中に於て。師の禪室の上に當りて。大 |
| J18_0134B28: | 挑燈の如くなる物虚空より降り。中に止りて其内よ |
| J18_0134B29: | り。幾筋共なく光明出て四方へ散り輝くを見侍りし |
| J18_0134B30: | 由申す |
| J18_0134B31: | 一年も既に暮行て。明れは正月元日なり。師命期は |
| J18_0134B32: | なはだ近しといへとも。病苦更になかりけれは。樣 |
| J18_0134B33: | 體はたた平常の如く快くおはしけり。檀越野村氏な |
| J18_0134B34: | と一兩輩。元旦の禮式ながら拜謁しけり。師十念を |