浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0060A01: | ○師有馬極樂寺に住せし日。洛の富山氏某本宅は勢州射和に |
J18_0060A02: | あり溫泉に浴するの序。師に謁して數數敎示を蒙り信 |
J18_0060A03: | 感髓に徹す是よりして歸依常倫に超たり。師の極樂 |
J18_0060A04: | 寺を捨去ことをはるかに傳へ聞て洛の西北。梅が畑の |
J18_0060A05: | 導故院を再興し師を召請して供養せらる。師即ち來 |
J18_0060A06: | り寓ずること年あり。此地は元觀智國師の弟子了的導 |
J18_0060A07: | 故大和尚。黑谷より幽棲し給ふ所なり導故和尚の法 |
J18_0060A08: | 弟。縁山現住廓山大和尚遷化たるにより 台命に因 |
J18_0060A09: | て此地より直に縁山へ移轉し給へり。其後荒蕪に屬 |
J18_0060A10: | せしを富山氏方へ求め得て草屋を構へ置れしなり。 |
J18_0060A11: | 導故院といふ三大字の額あり知恩院宮良純法親王 |
J18_0060A12: | 後水尾院第八の皇子の御筆なり。此地のありさま綠樹蓊欝とし |
J18_0060A13: | て後山に覆ひ。脩竹瀟洒として前溪を圍み眼下に村 |
J18_0060A14: | 里を見渡して風景絶勝なり。中央に石窟あり其内に |
J18_0060A15: | 開山導故上人の名號石六字を石にえりて立たる也中興厭求上人の名 |
J18_0060A16: | 號石あり左に當院歷代の墳墓有右に富山氏代代の墓あり人家を去こと遠からず右 |
J18_0060A17: | に五智山を見左に仁和寺を望む絶塵の佳境壺中の乾 |
J18_0060B18: | 坤にして隱者の盤旋すべき處なり。本尊は坐像三尺 |
J18_0060B19: | の彌陀佛なり兩祖の畫像上人の木像皆悉く自作な |
J18_0060B20: | り。又別に檀主念譽淨仙菴主照譽春光法尼の木像あ |
J18_0060B21: | り是は佛祖へ常隨給仕供養の爲なりとぞ是又上人の作なり其子孫即 |
J18_0060B22: | ち當院の檀越たり |
J18_0060B23: | ○師或時勢州射和富山内室法名心榮逝去の節。贈り給へ |
J18_0060B24: | る書壹通あり。彼家の兒孫。珍藏して今に所持す。そ |
J18_0060B25: | の文にいはく。心榮往生ノ由承リ。何レモ愁歎力落ノ |
J18_0060B26: | 段令推察候。乍去神妙ニ殊勝ナル臨終ノ由扨扨目出 |
J18_0060B27: | 度存候。人界ヘ生ヲ受テハ生死ヲハナレ菩提ニ至ル |
J18_0060B28: | 是ヲ諸佛如來ノ本意トシ玉フニ。若キ人ノ目出度臨 |
J18_0060B29: | 終ハ佛ノ冥加ニ御叶ヒ候ト感入存候。但シ一旦ノ別 |
J18_0060B30: | レハナゲカハシキニ似タレトモ皆是迷ヒテ歎クコト也悟 |
J18_0060B31: | リテ見レバ本來不生不滅也。喩ヘバ夢ニ生ルルト見 |
J18_0060B32: | 死ヌルト見ルニサメテ後夢ノ中ノ事ヲ思フニ生レモ |
J18_0060B33: | セズ死モセズ唯夢也。ソレガ如クニ今生ト云ハ迷ノ |
J18_0060B34: | 夢也迷ノ中ニ居テハ生ルルト思ヒ死ルト思ヘトモ。極 |
J18_0060B35: | 樂ニ往生シテ見レバ生レモセズ死モセズ。唯速カニ往 |