浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0770A01: | 藝州嚴島は神德靈威にして天下の勝境なりと聞て登 |
J17_0770A02: | 臨のこころざしあり。爰に善導寺の檀越なる人と嚴 |
J17_0770A03: | 島の住人に小河及西といふものと舊識なりければ。 |
J17_0770A04: | 彼檀越の書簡を得て渡海したまへり。師島上にいた |
J17_0770A05: | りて見わたしたまふに聞しにまさりたる靈境なりけ |
J17_0770A06: | れば。殊に捿神の地なりとよろこびたまへり。彼書 |
J17_0770A07: | 簡を小河氏へつたへたまひけるに。宿世の因縁にや |
J17_0770A08: | 一たび相見してより深く崇敬のこころざしあり。法 |
J17_0770A09: | 要を問ひ示誨をうけて渴仰いよいよ髓に徹す遂に土 |
J17_0770A10: | 地をゑらび神社の東の岡に一宇の草庵をむすびて常 |
J17_0770A11: | に供養をなしたてまつりける。時の人これを名づけ |
J17_0770A12: | て岡の菴といふ今の光明院これなり。はじめ師嚴島 |
J17_0770A13: | の近里に宿せられけるとき。夢中に明神來現ありて |
J17_0770A14: | つげたまはく我はいつくしま明神なり久しく師の道 |
J17_0770A15: | 德を仰く。願はくはわれしまにありて興法利生した |
J17_0770A16: | まへと。夢さめて島にいたり一覽せられけるに紫の |
J17_0770A17: | 靄のごとくなるもの島のきしにたなびけり。實に不 |
J17_0770B18: | 可思議のこと共なり。 |
J17_0770B19: | ○師一日大明神の寶前にありて法施をささげたま |
J17_0770B20: | ふ。時に。いづちともなく貴女壹人きたりて相見し |
J17_0770B21: | たまへり。その儀相はなはだ怖るべし。其後時時草 |
J17_0770B22: | 菴に降臨し給ふを人或はこれをしるとなり。むかし |
J17_0770B23: | 加茂大明神。吉水の禪室に降臨したまふ古今同轍な |
J17_0770B24: | りとて人人たふとみあへり。 |
J17_0770B25: | ○師また一日柱に靠りて日課念佛す。老衰のくたぶ |
J17_0770B26: | れにや。しばしば眠りたまひぬ。門弟等竊にうかが |
J17_0770B27: | ひ見るに頭光朗にして闇夜の星のごとし。或は又圓 |
J17_0770B28: | 光の内にましませしを拜せる事度度なり。往古吉水 |
J17_0770B29: | 大師端座念佛のとき光明を現し。また橋をわたりた |
J17_0770B30: | まひしとき頭光をあらはしたまふと古今一揆なる靈 |
J17_0770B31: | 應なり。 |
J17_0770B32: | ○師修行功積りて心地も朗然たりといへども。唯三 |
J17_0770B33: | 佛大悲の趣を仰ぎ二祖相承の旨をあがめて。自行化 |
J17_0770B34: | 他偏に稱名念佛を縡としたまへり。ある所にて道俗 |