浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0766A01: | 光明院開基以八上人行狀記 |
J17_0766A02: | |
J17_0766A03: | 上人諱は存易字は以八。別に專求西と號す。行蓮社 |
J17_0766A04: | 信譽は本宗恒式の稱謂なり。奧州岩城の産にしてち |
J17_0766A05: | ちは賀氏法名道祐母は幡氏法名妙善夫婦ともに子なきことをな |
J17_0766A06: | げき心をひとつにして月天子に祈願し。毎月十五夜 |
J17_0766A07: | 二十三夜にはことに丹誠をぬきんで念願せられける。 |
J17_0766A08: | そのしるにや有けん。はたして幡氏懷妊し。天文八 |
J17_0766A09: | 己亥歳男子を誕生す。天性質直にして孩稚のころよ |
J17_0766A10: | り世の童子にことなりき。かりそめにも戯弄をこのま |
J17_0766A11: | ず。ただ出家學道を願望せり。父母もまたその生質 |
J17_0766A12: | の奇異なるを見てむなしく塵網繫縛せんことをおし |
J17_0766A13: | み。十一歳の春同州能滿寺の天蓮社存洞上人にあた |
J17_0766A14: | へて弟子と成しぬ。剃髮染衣して名を存易と號す。 |
J17_0766A15: | 存洞は則ち師の叔父なりければ。心をつくして敎示 |
J17_0766A16: | せらる。師學問の性靈利にして一を聞て十をしり。 |
J17_0766A17: | 耳に觸るところ憶持してわするることなし。 |
J17_0766B18: | ○本州大澤の圓通寺は淨宗の學肆なりければ。修學 |
J17_0766B19: | のはじめ笈を負ふて此寺にゆき粗宗義を習學せらる |
J17_0766B20: | 時に上總國生實の大巖寺開山道譽貞把上人は當時の |
J17_0766B21: | 名匠一宗の雄才なりければ。師これをしたふて座下 |
J17_0766B22: | にゆき隨侍し晝夜孜孜として法理を研覈す。よつて |
J17_0766B23: | いくほどなく其學内外に通じその智二門に明なり上 |
J17_0766B24: | 人も勝れたる法器なることをよろこびて。一家の奧旨 |
J17_0766B25: | 底を盡して授與したまふ。なをも修學を勵したまは |
J17_0766B26: | ば大業をもとげらるべき器なりけれど。素より名利 |
J17_0766B27: | をいとひ隱遁に志ふかかりければ。つねに一擧萬里 |
J17_0766B28: | 絶域他方ならんことをのみをもひたまひぬ。遂に行年 |
J17_0766B29: | 廿八歳のなつ。永く師席を辭し舊里をはなれて抖擻 |
J17_0766B30: | 行脚の身となれり。其とき兄弟にしめしたまふとて |
J17_0766B31: | かきのこし置たまへる文にいはく。佛法修行はいか |
J17_0766B32: | にも攝心五十年も三十年も閑に工夫思案するが第一 |
J17_0766B33: | なり。世間をば打すつる心もちにて思案一片に心を |
J17_0766B34: | なすべく候たとひ悟道得法するとても。修行なくし |