浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0737A01: | 待ちけりされば上人も今生の結縁いまをかぎりとお |
J17_0737A02: | ほしめし侍者に手をひかれて寺を出で給ひけれど老 |
J17_0737A03: | の身に病の重をそへたれば佛前まではかなひがたく |
J17_0737A04: | て麓にしばし休て恒例の十念を授け給ひわれはやか |
J17_0737A05: | て淨土に生るるなり花の臺に半座を留て待ぞ待ぞと |
J17_0737A06: | いひもてやがて方丈にかへり入らせ給ひぬ。 |
J17_0737A07: | 繪 |
J17_0737A08: | 正月十六日より別に臨終の道塲を設け畫工託摩が書 |
J17_0737A09: | し彌陀の三尊を掛て幡蓋をかざりて香花をそなへ或 |
J17_0737A10: | 時は高聲或時は低聲に稱名の聲相續せり隨從の弟子 |
J17_0737A11: | たち助音のために鐘をならし磬をうちてもろともに |
J17_0737A12: | 念佛し世間の雜話はたがひに制止してかつてなさざ |
J17_0737A13: | りき。 |
J17_0737A14: | 繪 |
J17_0737A15: | 正月廿日に至りて上人遠近の緇素を招き集めて滅後 |
J17_0737A16: | 防非の誡めいとおごそかに安心起行の沙汰などは |
J17_0737A17: | 平日よりもなほこまやかなり或は日比の親愛を謝し |
J17_0737B18: | 或は父母あるものには孝行を勸め或は衰老のものに |
J17_0737B19: | は無常の理を説機宜に隨ひて遺命まちまちなりしか |
J17_0737B20: | ば時刻移りて日もはや暮れぬ上人大悟のちかづき來 |
J17_0737B21: | るをしり給ひて雙林涅槃の儀にならひ頭北面西に床 |
J17_0737B22: | 臥して一心稱名の聲綿綿として絶ゆる事なし上人し |
J17_0737B23: | ばし微笑して歡喜の相ありしが眠かごとくにて風息 |
J17_0737B24: | 絶ぬ時に寬永十六年正月廿一日卯時春秋八十八歳な |
J17_0737B25: | り。 |
J17_0737B26: | 繪 |
J17_0737B27: | 上人一代の製作血脈論一卷麒麟聖財論私釋一卷大原 |
J17_0737B28: | 端書一卷梵漢對映集二卷啓袋中一卷大澤文庫一卷こ |
J17_0737B29: | れは奧州にて著せり明眼論記一卷は九州にして作れ |
J17_0737B30: | り琉球神道記五卷琉球往來記一卷は彼國におゐて黄 |
J17_0737B31: | 冠馬幸明が請によりて出せり天竺往生記抄臨終要决 |
J17_0737B32: | 抄聖〓賛十六卷曼荼羅白記十二卷元亨釋書略頌は洛 |
J17_0737B33: | 陽にて述せり靈地集二卷撰擇之傳一卷は南都にて製 |
J17_0737B34: | せり四十二章經注一卷涅槃考文鈔一卷泥洹之道一卷 |