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J2580 袋中上人伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0737A01: 待ちけりされば上人も今生の結縁いまをかぎりとお
J17_0737A02: ほしめし侍者に手をひかれて寺を出で給ひけれど老
J17_0737A03: の身に病の重をそへたれば佛前まではかなひがたく
J17_0737A04: て麓にしばし休て恒例の十念を授け給ひわれはやか
J17_0737A05: て淨土に生るるなり花の臺に半座を留て待ぞ待ぞと
J17_0737A06: いひもてやがて方丈にかへり入らせ給ひぬ。
J17_0737A07:
J17_0737A08: 正月十六日より別に臨終の道塲を設け畫工託摩が書
J17_0737A09: し彌陀の三尊を掛て幡蓋をかざりて香花をそなへ或
J17_0737A10: 時は高聲或時は低聲に稱名の聲相續せり隨從の弟子
J17_0737A11: たち助音のために鐘をならし磬をうちてもろともに
J17_0737A12: 念佛し世間の雜話はたがひに制止してかつてなさざ
J17_0737A13: りき。
J17_0737A14:
J17_0737A15: 正月廿日に至りて上人遠近の緇素を招き集めて滅後
J17_0737A16: 防非の誡めいとおごそかに安心起行の沙汰などは
J17_0737A17: 平日よりもなほこまやかなり或は日比の親愛を謝し
J17_0737B18: 或は父母あるものには孝行を勸め或は衰老のものに
J17_0737B19: は無常の理を説機宜に隨ひて遺命まちまちなりしか
J17_0737B20: ば時刻移りて日もはや暮れぬ上人大悟のちかづき來
J17_0737B21: るをしり給ひて雙林涅槃の儀にならひ頭北面西に床
J17_0737B22: 臥して一心稱名の聲綿綿として絶ゆる事なし上人し
J17_0737B23: ばし微笑して歡喜の相ありしが眠かごとくにて風息
J17_0737B24: 絶ぬ時に寬永十六年正月廿一日卯時春秋八十八歳な
J17_0737B25: り。
J17_0737B26:
J17_0737B27: 上人一代の製作血脈論一卷麒麟聖財論私釋一卷大原
J17_0737B28: 端書一卷梵漢對映集二卷啓袋中一卷大澤文庫一卷こ
J17_0737B29: れは奧州にて著せり明眼論記一卷は九州にして作れ
J17_0737B30: り琉球神道記五卷琉球往來記一卷は彼國におゐて黄
J17_0737B31: 冠馬幸明が請によりて出せり天竺往生記抄臨終要决
J17_0737B32: 抄聖〓賛十六卷曼荼羅白記十二卷元亨釋書略頌は洛
J17_0737B33: 陽にて述せり靈地集二卷撰擇之傳一卷は南都にて製
J17_0737B34: せり四十二章經注一卷涅槃考文鈔一卷泥洹之道一卷

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