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J2540 弾誓上人絵詞伝 宅亮 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0701A01: の爲に食れて全備せす。缺典といふもをろかな
J17_0701A02: り。某は一箇の啞羊僧なれど。もしくは宿縁ある
J17_0701A03: か。當山に住ぬる事既に年あり。今若傳記編集流
J17_0701A04: 布の擧なかりせば。後世に開山の高風を聞知ること
J17_0701A05: なからん事を恐れ。時時當寺の舊記を搜り或は他方
J17_0701A06: にある所の上人開基の地に尋ね求て。一一に其事
J17_0701A07: 實を糺し。若干の年月を累ねて草稿漸く成就し
J17_0701A08: ぬ。されども素より不才なるゆへ。藻鹽草かきあ
J17_0701A09: つめたるばかりにて。人前に指出すべきにしもあ
J17_0701A10: らねば。櫃の内に藏めて深くかくせり。圖らずも
J17_0701A11: 今玆の春。人人の勸誘によりて。開山上人の肖像
J17_0701A12: 及び手澤法器等を。洛の一條淨福寺に移して。普
J17_0701A13: く瞻禮結縁せしむ。都下翕然として信を起すもの
J17_0701A14: 數なし名號等に就て現益あり翼賛の末にしるす其中に予が此行狀の作ある
J17_0701A15: 事を聞傳へて。ひたすらに梓行をすすむる人も又
J17_0701A16: すくなからす。ここにをひて時の至れるにやと思
J17_0701A17: ひ回らし。彼草稿を遠く尾州八事山空華尊者の侍
J17_0701B18: 司下に呈して訂正を乞願ひ侍る。尊者は當今の碩
J17_0701B19: 學天下の老德なり。慈悲の色濃に護法の念淳きゆ
J17_0701B20: へに。深く此擧を隨喜し玉ひ。慈眸を垂ていと苦
J17_0701B21: に挍閲し。特に證誠に擬して翼賛を著し給はり
J17_0701B22: ぬ。予頂戴奉持して歡喜踊躍し。手の舞足の踏こと
J17_0701B23: を知らず。速に剞劂氏に與へて梓行し。玉敷の都
J17_0701B24: の内はいふも更なり。壺の碑蝦夷が千島の外まで
J17_0701B25: も。流布せしめん事をはかる。因に其始卒をのべ
J17_0701B26: て。世に告るものならし。
J17_0701B27: 明和四年丁亥十月廿五日
J17_0701B28: 洛北古知谷阿彌陀寺現住安蓮誓信阿宅亮識

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