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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0214A01: ると見て覺ぬ。はたして廿五日に往生し給へり。花園
J17_0214A02: 准后の女房三河の局。同き廿四日夜の夢に云。上人
J17_0214A03: の住房を見れば。四壁に錦の帳を垂たり。色光甚鮮
J17_0214A04: にして煙また充滿せり。よくよく是を見れば。煙に
J17_0214A05: もあらず。紫雲也。上人既に往生し給へるかと思ひ
J17_0214A06: て覺ぬ。廿五日の早旦に順西法印に語る。即當日午
J17_0214A07: の尅に往生し給へり。仁和寺の尼西妙本關東也同廿四日
J17_0214A08: の夜の夢に云。圖繪の善導の御影のごとくなる上人
J17_0214A09: 來て。法然上人は明日午の尅に往生し給ふべし。は
J17_0214A10: やく行て是をおがめと告給ふと見て覺ぬ。仍夢の虚
J17_0214A11: 實をしらんがために。廿五日の朝上人へまいりて夜
J17_0214A12: の夢を語る。午の尅に至て往生したまへり。八幡の
J17_0214A13: 住人馬允源時廣が子息金剛丸。于時十也同廿四日夜の夢に
J17_0214A14: 云。西に渺渺たる曠野あり。曠野の西に海あり。海
J17_0214A15: の上空の中に雲あり。みな人これを紫雲といふ。雲
J17_0214A16: の上に阿彌陀の三尊おはします。光明てりかがやき
J17_0214A17: て。音樂妙にして。西より東に來る。墨染の衣を著
J17_0214B18: せる僧ありて。岸の上に立り。觀音蓮臺をさざげて。
J17_0214B19: 此僧をのせて。漸漸に西へさる。人多く羣集して。
J17_0214B20: 是を法然上人の往生也といひて。おがむと見て覺
J17_0214B21: む。其後朝に此夢をかたる。申の時にいたりて。上
J17_0214B22: 人往生のよし。八幡へ聞えけり。廿五日上人往生の
J17_0214B23: 時。羣集せる道俗の中に。ある人語て云。一昨夜
J17_0214B24: 廿三日夢に。上人來りて明後日午の時に往生を遂べし
J17_0214B25: と。つげ給へる間。此夢に驚きて。實否を決せんが
J17_0214B26: ために。まいれる也と。また或人語りて云。昨夜廿四
J17_0214B27: 日夢に。上人來りて。我は明日午の時に往生すべし
J17_0214B28: とつげ給へる間。此夢に驚きて來臨するなりと。東
J17_0214B29: 山一切經の谷の住僧。大進房が弟子袈裟王丸十六歳也
J17_0214B30: 廿五日の夜の夢に。東西にわたりて。すぐにとをり
J17_0214B31: たる大路あり。白きすなの淸潔なる上に。新き莚を
J17_0214B32: しけり。見物左右に滿滿たり。何事ぞと見れば。
J17_0214B33: 天童二人。玉の幡をさして西へ行。其うしろに法服
J17_0214B34: を著たる僧衆千萬ありて。左の手には香爐を持。右

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