浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0100A01: | 泪計ぞ。頂にそそぎける。今思ひ合すれば。祕密灌 |
J17_0100A02: | 頂とかやにぞ。ものはいはずして。頂に水をそそぐ |
J17_0100A03: | なると申は。ケ樣の事にや侍らん。母思のあまりに |
J17_0100A04: | くちずさみける歌。 |
J17_0100A05: | かたみとてはかなき親のととめてし |
J17_0100A06: | 子のわかれさへまたいかにせん |
J17_0100A07: | 此理りを。觀覺こそ申さまほしく侍つるを。こまご |
J17_0100A08: | まとありありしく。仰こと侍ぬれば。それにつけて |
J17_0100A09: | も。かしこくぞ御學問のよし。思ひより侍ける。昔 |
J17_0100A10: | 晋の肇公。幼くして師匠の法華經飜譯のとき。人天 |
J17_0100A11: | 交接のことは。書わづらひ給ける。さかしう思合ら |
J17_0100A12: | れて哀にこそ侍れ。母。生る子にをしへらると。悉達 |
J17_0100A13: | 太子。母のために摩耶經を説き給けるも。思ひなず |
J17_0100A14: | らへつべし。小兒辯説をふるにつけ。老母承諾する |
J17_0100A15: | に似たれども。有爲の習忍びがたく。浮世の別れ迷 |
J17_0100A16: | ひやすく。昔の釋尊は衆生利益のために。十九にし |
J17_0100A17: | て父の王に忍びて城を越檀特山にこもり給き。今の |
J17_0100A18: | 小童は。佛法習學のために。十五歳にして。母儀を |
J17_0100B19: | こしらへて。家を出比叡山にのほる。 |
J17_0100B20: | 七 參會法性寺殿御出事 |
J17_0100B21: | 此兒。入洛の時。久安三年二月十三日。つくり路に |
J17_0100B22: | て。時の關白法性寺殿の御出に參り合奉りて。傍な |
J17_0100B23: | る小川に打寄給けるを。御車よりいかなる幼きもの |
J17_0100B24: | かと。御尋ありければ。兒のをくりに侍ける僧。美 |
J17_0100B25: | 作國より學問のため。比叡山にまかりのぼる小童の |
J17_0100B26: | よし。申ければ。御車をかけはづさせ。ちかく御覽じ |
J17_0100B27: | て。能能學問せらるべし。學生になり給はば。師 |
J17_0100B28: | 匠にたのみ思召べきよし。念比に御契有けり。いな |
J17_0100B29: | か童に對して。この禮は心得ぬ事哉と。上下の供奉 |
J17_0100B30: | 人思ける程に。彼小童。眼より光を放て。ただ人に |
J17_0100B31: | あらざる間。此禮を致せりと。後に仰られけり。實 |
J17_0100B32: | に不思議社。 |
J17_0100B33: | 八 登西塔北谷持法房事 |
J17_0100B34: | 從是以下事義相同。上卷欠行又少違在之。故令書 |
J17_0100B35: | 寫者也。 |