浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0097A01: | 法然上人傳記 |
J17_0097A02: | |
J17_0097A03: | 法然上人繪詞卷第一 |
J17_0097A04: | |
J17_0097A05: | 夫以。我本師釋迦如來は。あまねく流轉三界の迷徒 |
J17_0097A06: | をすくはんがために。ふかく平等一子の悲願をおこ |
J17_0097A07: | しますによりて。たちまちに無勝莊嚴の土を捨て。 |
J17_0097A08: | 忝娑婆濁世の國に出給しよりこのかた。非生に生を |
J17_0097A09: | 現じ給ふゆへに。則無憂樹の本に花ひらけ。非滅に |
J17_0097A10: | 滅をとなへ給ふがゆへに。終に雙樹林の間に風いた |
J17_0097A11: | む。在世八十箇年。化導雲のごとく霞の如し。滅後 |
J17_0097A12: | 二千餘迴。衆生恩をしたひ。德をしたふ。但し八萬 |
J17_0097A13: | の敎法まちまちなりといへども。大小の機根しなじ |
J17_0097A14: | ななりといへども。みなこれ穢土にして自力を勵 |
J17_0097A15: | し。濁世にありて得道を期す。ただこれ聖道難行の敎 |
J17_0097A16: | にしていまだ淨土易往にあづからず。爰に漢家には |
J17_0097A17: | 善導和尚。彌陀の化身として。本願の名號をひろめ。 |
J17_0097A18: | 我朝には法然上人。勢至の來現として。他力の往生 |
J17_0097B19: | をすすめ給へり。然者則濁世の導師として。但信稱 |
J17_0097B20: | 名の行をさづけ。如來の使者として。出離解脱の敎 |
J17_0097B21: | をのぶ。時機相應して順次の往生をとげ。感應道交 |
J17_0097B22: | して揭焉の引接に預りける輩。道俗貴賤をゑらばず。 |
J17_0097B23: | 男女老少をいはず。平生の濟度といひ。夢の後の巨 |
J17_0097B24: | 益といひ。目に見へ耳に滿たり。聞ても信を生せず。 |
J17_0097B25: | あひながら行ぜざらん者は。ひとへに宿業の拙き事 |
J17_0097B26: | をはづべし。何ぞ古賢の事にあづからんや。然に今 |
J17_0097B27: | 上人の遷化。すでに一百年におよべり。星霜をのづ |
J17_0097B28: | からあひへだたる。遺弟の弘通又四五家にわかれた |
J17_0097B29: | り。蘭菊をのをの美をほしきままにす。然間沒後の |
J17_0097B30: | 義鉾、たがひにまちまちにして。在世の行狀心おな |
J17_0097B31: | じくしてしるしおかる。これによりて。或者古老の |
J17_0097B32: | 口傳をとぶらひ。或者諸家の記錄をたづねて。見を |
J17_0097B33: | よび聞及ぶ所。かれをしるし。これをおこさむとお |
J17_0097B34: | もふ心ざしありといふとも。只趣く巨海の滴水をく |
J17_0097B35: | み。九牛が一毛をしるす。愚成者のさとりやすから |