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J2410 九巻伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0097A01: 法然上人傳記
J17_0097A02:
J17_0097A03: 法然上人繪詞卷第一
J17_0097A04:
J17_0097A05: 夫以。我本師釋迦如來は。あまねく流轉三界の迷徒
J17_0097A06: をすくはんがために。ふかく平等一子の悲願をおこ
J17_0097A07: しますによりて。たちまちに無勝莊嚴の土を捨て。
J17_0097A08: 忝娑婆濁世の國に出給しよりこのかた。非生に生を
J17_0097A09: 現じ給ふゆへに。則無憂樹の本に花ひらけ。非滅に
J17_0097A10: 滅をとなへ給ふがゆへに。終に雙樹林の間に風いた
J17_0097A11: む。在世八十箇年。化導雲のごとく霞の如し。滅後
J17_0097A12: 二千餘迴。衆生恩をしたひ。德をしたふ。但し八萬
J17_0097A13: の敎法まちまちなりといへども。大小の機根しなじ
J17_0097A14: ななりといへども。みなこれ穢土にして自力を勵
J17_0097A15: し。濁世にありて得道を期す。ただこれ聖道難行の敎
J17_0097A16: にしていまだ淨土易往にあづからず。爰に漢家には
J17_0097A17: 善導和尚。彌陀の化身として。本願の名號をひろめ。
J17_0097A18: 我朝には法然上人。勢至の來現として。他力の往生
J17_0097B19: をすすめ給へり。然者則濁世の導師として。但信稱
J17_0097B20: 名の行をさづけ。如來の使者として。出離解脱の敎
J17_0097B21: をのぶ。時機相應して順次の往生をとげ。感應道交
J17_0097B22: して揭焉の引接に預りける輩。道俗貴賤をゑらばず。
J17_0097B23: 男女老少をいはず。平生の濟度といひ。夢の後の巨
J17_0097B24: 益といひ。目に見へ耳に滿たり。聞ても信を生せず。
J17_0097B25: あひながら行ぜざらん者は。ひとへに宿業の拙き事
J17_0097B26: をはづべし。何ぞ古賢の事にあづからんや。然に今
J17_0097B27: 上人の遷化。すでに一百年におよべり。星霜をのづ
J17_0097B28: からあひへだたる。遺弟の弘通又四五家にわかれた
J17_0097B29: り。蘭菊をのをの美をほしきままにす。然間沒後の
J17_0097B30: 義鉾、たがひにまちまちにして。在世の行狀心おな
J17_0097B31: じくしてしるしおかる。これによりて。或者古老の
J17_0097B32: 口傳をとぶらひ。或者諸家の記錄をたづねて。見を
J17_0097B33: よび聞及ぶ所。かれをしるし。これをおこさむとお
J17_0097B34: もふ心ざしありといふとも。只趣く巨海の滴水をく
J17_0097B35: み。九牛が一毛をしるす。愚成者のさとりやすから

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