浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0054A01: | 州を照す、時を測て光を迴す。北州に日かくやくた |
J17_0054A02: | れば、南州にかげのちかづくより、須彌の岑、なく |
J17_0054A03: | 鷄の可見路と鳴は、暗きやみ漸くはれて、みち見え |
J17_0054A04: | ぬべしと囀也。佛敎も又正法千年は、印土に盛にし |
J17_0054A05: | て、像法のはじめ、漢につたはりてのち、用明天王 |
J17_0054A06: | の儲君、舍利をもて生給しを、佛の誕生に准ずべき |
J17_0054A07: | 歟。其謂何者、舍利、現身に説法し、神變をしめし |
J17_0054A08: | 給事、佛のごとく也。これを以、我國の正法のはじ |
J17_0054A09: | めとすべきか。たとへば、父、宮こにして、よをは |
J17_0054A10: | やくし、子、他國にまよふて、程をへてをどろく、 |
J17_0054A11: | 亡日、年序をへにけれども、禁忌はきくよりをこり、 |
J17_0054A12: | 孝養はあらたなれども、中隱はふるき跡也。爰一切 |
J17_0054A13: | 衆生のちち、卜萬餘里のにしにかくれ、その子、三 |
J17_0054A14: | 箇國の東に忍より、藤衣の、たちまちにいろをかへ |
J17_0054A15: | るありさま、たら葉の面に、かきをきたまへる遺敎、 |
J17_0054A16: | ひろしといへども、おほくは西方の寶樹、寶池の水 |
J17_0054A17: | 木、宮殿樓閣のありさま、飯食經行ゆたか也。衣は、 |
J17_0054B18: | そめ、すすぎ、ぬはねども、春夏秋冬、身をかざり、 |
J17_0054B19: | 藥は、のみ、くひ、つけねども、心になやむことな |
J17_0054B20: | く、つつがなし。かかる都へさそはんと、金烏、雲 |
J17_0054B21: | の上よりかけり、銀兎、野外にほとばしる。 |
J17_0054B22: | この息、襁褓のなかよりいでて、竹馬に |
J17_0054B23: | 鞭うちて、あそぶところ。 |
J17_0054B24: | 竹馬嬉戲の圖 |
J17_0054B25: | 保延七年辛酉はるのころ、時國朝臣、夜打にあへる刻、 |
J17_0054B26: | ふかききずをかふむりて、いまはかぎりになりにけ |
J17_0054B27: | れば、九歳なる子に、われは、此きずにて、空くみま |
J17_0054B28: | かりなんとす。しかりと云て、敵人をうらむる事な |
J17_0054B29: | かれ。是前世のむくひ也。猶此報答を思ならば、轉 |
J17_0054B30: | 展無窮にして、世世生生にたたかひ、在在處處にあ |
J17_0054B31: | らそふて、輪迴たゆる事なかるべし。凡生ある物は、 |
J17_0054B32: | みな、死をいたむ事かぎりなし。我このきずをいた |
J17_0054B33: | む、人又いたまざらんや。我此命ををしむ、人あに |
J17_0054B34: | をしまざらんや。わがみにかへて、人の思をしるべ |
J17_0054B35: | き也。むかし、はからざるに、もののいのちをころす |