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J2340 円光大師御伝縁起 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0990A01: き。三學無分のつたなき身なり。すでに定惠のつば
J16_0990A02: さなし。いかで二空の天にかけらん。爰に煩惱を斷
J16_0990A03: ぜずして。橫に三界の苦域をこえ。聖位をふまずし
J16_0990A04: て。すみやかに四德の樂邦にのぼる事は。ただ往生
J16_0990A05: 極樂の一門にかぎれり。されば極樂の門にあらざれ
J16_0990A06: ば。生死を出るに路なく。念佛の行にあらざれば。
J16_0990A07: 極樂に生ずるによしなしと。大師ものたまひき。し
J16_0990A08: かあれど。世もいよいよくだり。人もいろいろひが
J16_0990A09: めるままに。念佛の安心もまちまちにいひののしれ
J16_0990A10: ば。無智の人はまよひぬべし。ただ彌陀本願の稱
J16_0990A11: 名。願行相續の正路をたどらん人は。常に心にかけ
J16_0990A12: て。一部の御傳をくりかへし。熟讀せんには過侍ら
J16_0990A13: じ。念佛の得脱。文理大に兼そなはり。往生の靈驗。
J16_0990A14: 證跡また分明なれば誠にこれ心行を定むるの良規。
J16_0990A15: 邪正をてらす明鏡なり。西方の行者みづからもよ
J16_0990A16: み。人にもをしへて化益展轉せばこれ佛恩を報ずる。
J16_0990A17: 眞の佛弟子なるべし。いはんや念佛の法門は。ただ
J16_0990B18: 當來の果報をよろこばしむるのみにはあらず。現在
J16_0990B19: の利益は求ざるにをのづから得る事になん侍る。ゆ
J16_0990B20: へはいかんとなれば。無量壽如來は。光明とこしな
J16_0990B21: へに照して。念佛の衆生を攝取して護念し。十方恒
J16_0990B22: 沙の證誠諸佛は。慈悲神力を加へて。共に來て護念
J16_0990B23: し給へば。ましてもろもろの菩薩聖衆。諸天善神は。
J16_0990B24: かげのかたちにしたがふがごとく。晝夜につねに護
J16_0990B25: 念し給ふと侍るゆへなり。されば善導大師も護念の
J16_0990B26: 意は。諸惡鬼神に便を得せしめず。また橫病橫死な
J16_0990B27: く。橫に厄難ある事なく。一切の災障自然に消散す。
J16_0990B28: これ念佛の現生護念增上縁なりと。釋し給へり。末
J16_0990B29: 代の行者道俗男女をえらばず。此世やすらかに。後
J16_0990B30: の世たのもしく二世の祈願に。功高く進みやすき
J16_0990B31: 事。念佛の行に過たるは侍らず。たまたま受がたき
J16_0990B32: 人身をうけ。さいはいにあひがたき本願にあへり。
J16_0990B33: 此度生死をはなれずは。またいつをか期せむや。ゆ
J16_0990B34: めゆめ寳の山に入ながら。手をむなしくして。歸り

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