浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0990A01: | き。三學無分のつたなき身なり。すでに定惠のつば |
J16_0990A02: | さなし。いかで二空の天にかけらん。爰に煩惱を斷 |
J16_0990A03: | ぜずして。橫に三界の苦域をこえ。聖位をふまずし |
J16_0990A04: | て。すみやかに四德の樂邦にのぼる事は。ただ往生 |
J16_0990A05: | 極樂の一門にかぎれり。されば極樂の門にあらざれ |
J16_0990A06: | ば。生死を出るに路なく。念佛の行にあらざれば。 |
J16_0990A07: | 極樂に生ずるによしなしと。大師ものたまひき。し |
J16_0990A08: | かあれど。世もいよいよくだり。人もいろいろひが |
J16_0990A09: | めるままに。念佛の安心もまちまちにいひののしれ |
J16_0990A10: | ば。無智の人はまよひぬべし。ただ彌陀本願の稱 |
J16_0990A11: | 名。願行相續の正路をたどらん人は。常に心にかけ |
J16_0990A12: | て。一部の御傳をくりかへし。熟讀せんには過侍ら |
J16_0990A13: | じ。念佛の得脱。文理大に兼そなはり。往生の靈驗。 |
J16_0990A14: | 證跡また分明なれば誠にこれ心行を定むるの良規。 |
J16_0990A15: | 邪正をてらす明鏡なり。西方の行者みづからもよ |
J16_0990A16: | み。人にもをしへて化益展轉せばこれ佛恩を報ずる。 |
J16_0990A17: | 眞の佛弟子なるべし。いはんや念佛の法門は。ただ |
J16_0990B18: | 當來の果報をよろこばしむるのみにはあらず。現在 |
J16_0990B19: | の利益は求ざるにをのづから得る事になん侍る。ゆ |
J16_0990B20: | へはいかんとなれば。無量壽如來は。光明とこしな |
J16_0990B21: | へに照して。念佛の衆生を攝取して護念し。十方恒 |
J16_0990B22: | 沙の證誠諸佛は。慈悲神力を加へて。共に來て護念 |
J16_0990B23: | し給へば。ましてもろもろの菩薩聖衆。諸天善神は。 |
J16_0990B24: | かげのかたちにしたがふがごとく。晝夜につねに護 |
J16_0990B25: | 念し給ふと侍るゆへなり。されば善導大師も護念の |
J16_0990B26: | 意は。諸惡鬼神に便を得せしめず。また橫病橫死な |
J16_0990B27: | く。橫に厄難ある事なく。一切の災障自然に消散す。 |
J16_0990B28: | これ念佛の現生護念增上縁なりと。釋し給へり。末 |
J16_0990B29: | 代の行者道俗男女をえらばず。此世やすらかに。後 |
J16_0990B30: | の世たのもしく二世の祈願に。功高く進みやすき |
J16_0990B31: | 事。念佛の行に過たるは侍らず。たまたま受がたき |
J16_0990B32: | 人身をうけ。さいはいにあひがたき本願にあへり。 |
J16_0990B33: | 此度生死をはなれずは。またいつをか期せむや。ゆ |
J16_0990B34: | めゆめ寳の山に入ながら。手をむなしくして。歸り |