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J2340 円光大師御伝縁起 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0989A01: びらかに。縁起のおほやけなる事。此御傳に過たる
J16_0989A02: は侍らず。時の人の。いまさらのやうにうやまひた
J16_0989A03: ふとひて。念佛門に入けんはげにさることにこそ。
J16_0989A04: されば其頃。澄圓上人といふ高僧あり。本は山門の
J16_0989A05: 學匠にて。博學強記たぐひなかりければ。時の人讃
J16_0989A06: 美して一切經藏とぞ名づけける。精義神にいり。靈辯
J16_0989A07: 玉をはく。當代の龍象なりしが。つゐに淨土門に歸
J16_0989A08: 依し。鎭西の流を汲て。專修の行者となり。淨土十
J16_0989A09: 勝論十餘卷を撰述して。吉水の宗義を翼讃せらる。
J16_0989A10: 其中に大師の法語を引證して。所立の義勢を成ぜら
J16_0989A11: れし事の侍りし時。或人なをその法語の眞僞をうた
J16_0989A12: がひしかば。澄圓ただ我ひとりこれを得たるにあら
J16_0989A13: ず。亦知恩院別當法印大和尚位舜昌も。これを得
J16_0989A14: て。祖師の行狀畫圖の詞とせりと答申されて。公論
J16_0989A15: の證據には此御傳を出されたり。澄圓は舜昌法師と
J16_0989A16: 同時の人なりき。されば御傳のかくはや。時のため
J16_0989A17: に重ぜられし事。あに敕集のやんごとなく。作者の
J16_0989B18: おほやけなりしゆへならずや。上代の智者なをかく
J16_0989B19: のごとし。いはんや末代の人をや。かかれば。近代
J16_0989B20: 聖道の學者の中にも。御傳をひらき見て。すずろに
J16_0989B21: 深信を起し。念佛門におもむくともがらも。あまた
J16_0989B22: 聞ゆめり。まして深閨の内に。いつかれ給ひて。聞
J16_0989B23: 法の縁うとうとしからん婦人などのためには。これ
J16_0989B24: ぞげに。長夜を照す燈にして。苦海を渡る船なんめ
J16_0989B25: り。をよそ佛法廣しといへども。戒定惠の三學を具
J16_0989B26: せずして。轉凡入聖の解脱を得なんとは。大乘にも
J16_0989B27: 小乘にも。自力の法門にはおもひ絶て侍り。たとひ
J16_0989B28: 三學を一念に得といふなる。頓悟の輩も。そのうつ
J16_0989B29: は物。むかしの人に及ばねば。實に漸修の功を積
J16_0989B30: ざれば。聖果の跡はあらはれず。しかれば生涯はた
J16_0989B31: だ理悟の凡夫にとどこほりて。後有いまだほろびざ
J16_0989B32: れば。なを三界の流轉をまぬかれず。更に隔生即忘
J16_0989B33: の恐れありと。古人もふかくなげき給へり。然に濁
J16_0989B34: 世末代の此頃は。道俗男女を論ぜず。あらがふ所な

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