浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0433A01: | 或人熊谷の入道。津戸の三郞は。無智の者にて餘行 |
J16_0433A02: | かなひかたけれはこそ。念佛ばかりをばすすめたま |
J16_0433A03: | ふらめ。有智の人には。必しも念佛には限るへからす |
J16_0433A04: | と申けるを。爲守つたへ聞て。上人に尋申けるつゐ |
J16_0433A05: | てに。條條の不審を申入けり。上人の御返事云。 |
J16_0433A06: | 一熊谷の入道。津戸の三郞は。無智の者なれはこ |
J16_0433A07: | そ。但念佛をはすすめたれ。有智の人には。必しも |
J16_0433A08: | 念佛には限るべからすと申よし。聞えて候らん。 |
J16_0433A09: | 極たる僻事に候。その故は。念佛の行は。本より |
J16_0433A10: | 有智無智に限らす。彌陀の昔誓ひ給ひし本願も。あ |
J16_0433A11: | まねく一切衆生の爲なり。無智のためにと念佛を |
J16_0433A12: | 願し。有智のためには餘のふかき行を願し給こと |
J16_0433A13: | なし。十方衆生の句に。ひろく有智無智。有罪無 |
J16_0433A14: | 罪。善人惡人。持戒破戒。かしこきもいやしきも。 |
J16_0433A15: | 乃至皆こもれるなり。されは往生のみちを問尋候人 |
J16_0433A16: | には。有智無智を論せす。皆念佛の行ばかりを申 |
J16_0433A17: | 候なり。しかるにそら事をかまへて。左樣に念佛 |
J16_0433B18: | を申とどめんとするものは。先の世に念佛三昧淨 |
J16_0433B19: | 土の法門をきかず。後の世に又三惡道へかへるべ |
J16_0433B20: | きもののしかるへくて。左樣の事をばたくみ申事 |
J16_0433B21: | にて候なり。其よし聖敎に見えて候。見有修行 |
J16_0433B22: | 起嗔毒。方便破壞競生怨。如此生盲闡提輩。毀 |
J16_0433B23: | 滅頓敎永沈淪。超過大地微塵劫。未可得離 |
J16_0433B24: | 三途身と申たるなり。此文の心は。淨土をねが |
J16_0433B25: | ひ。念佛を行ずるものを見ては。いかりをおこし。 |
J16_0433B26: | 毒心をふくみて。はかりことをめぐらし。やうや |
J16_0433B27: | うの方便をなして。念佛の行を破りて。あらそひ |
J16_0433B28: | てあたをなし。これをととめんとするなり。かく |
J16_0433B29: | のこときの人は 生れてよりこのかた佛法の眼し |
J16_0433B30: | ゐて。佛の種を失へる闡提の輩なり。彌陀の名號 |
J16_0433B31: | をとなへて。ながき生死を忽に切て。常住の極樂 |
J16_0433B32: | に往生すといふ。頓敎の御法をそしりほろぼして。 |
J16_0433B33: | 此罪によりて。三惡道にしづみて。大地微塵劫を |
J16_0433B34: | 過とも。ながく三惡道の身を。はなるへからすと |