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J1420 和語灯録日講私記 義山・素中 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0741A01: 不自覺知云云三丁問ていはく稱名念佛申す人は等と
J09_0741A02: は此の一段の問答は常常の元祖の仰せに紛るる事也
J09_0741A03: 先つ大段を心得をくへき也此の尋ねの意は聖道淨土
J09_0741A04: をゑらはす唯念佛申す者は皆往生すへからすと也其
J09_0741A05: の往生の志し無き人と云ふは即ち聖道根性の人にて
J09_0741A06: 唯自力の心はかりにて他力の事無き也それを爰に
J09_0741A07: 自力の念佛と仰せらるる也彼の淨土の行人の中にて
J09_0741A08: 自力他力を分別する義には不同也其意次の問答の
J09_0741A09: 自力と云ふを答へ玉ふ處の釋にて見ゆる也爾れとも
J09_0741A10: 爰の答の詞に凡そ念佛に他力の念佛あり自力の念佛
J09_0741A11: ありと仰せらるる此の詞がまぎるる樣に聞ゆるな
J09_0741A12: れは其詞の同きにて其の義まてを同しとは心得へか
J09_0741A13: らさる也畢竟爰の自力の念佛と云ふは一向に他力本
J09_0741A14: 願を不知不志者の念佛を今自力の念佛とは云也本
J09_0741A15: より相傳の意は自力を聖道門と云ひ他力を淨土門
J09_0741A16: と云ひ自力を難行道と名け他力を易行道と名くる也
J09_0741A17: 彼の聖覺隆寬なとの自力他力の分別は僻見にして元
J09_0741B18: 祖の意には非す其の義次上の卷三十二丁處にて斷れるか
J09_0741B19: 如し總して念佛往生の中に自他力を分別すること
J09_0741B20: は元祖の意に非る事當卷二十二丁にも委釋あり照し見る
J09_0741B21: へき也扨聖覺は唯信抄に釋あり隆寬は閑亭後世物語
J09_0741B22: 上 卷十八丁に出てたり彼に云く問念佛に自力他力と申事
J09_0741B23: の候は如何なる事そ答隆寬律師の云佛の本願名號を
J09_0741B24: 唱へし凡夫を迎へんとこそ立ておはしますに自力の
J09_0741B25: 者は此本願の名號を唱へなから我身をつくろひ我心
J09_0741B26: を調へ戒を持ち齋をし身をせめ心をくたきて通夜終
J09_0741B27: 日頭の燃を掃ふがことくに勵みてこそ本願にも叶は
J09_0741B28: めと思ひて念佛申すを自力と申す也他力と申はもと
J09_0741B29: より我身のわろきを始てつくろひととのへんとも思
J09_0741B30: はす元より我心の煩惱に濁れるを今更すまさんとも
J09_0741B31: せす只佛の御力に任せて我身の罪をも滅してたべ我
J09_0741B32: 心の濁れるをも淸めてたべ我行のよはきをも助け
J09_0741B33: てたべと思ふ計りにて僅に舌を働して名號を唱へて
J09_0741B34: 四種の威儀をも調へす只ありきながらも立ても居て

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