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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0599A01: 答。さる事候はす
J09_0599A02: 一法師のつみは。ことにふかしと申候は
J09_0599A03: 答。とりわき候はす
J09_0599A04: 一現世をいのり候に。しるしの候はぬ人はいかに候
J09_0599A05:
J09_0599A06: 答。現世をいのるに。しるしなしと申事。佛の御そ
J09_0599A07: らことには候はす。わが心の説のことくせぬによりて
J09_0599A08: しるしなき事は候也。されはよくするにはみなしる
J09_0599A09: しは候也。觀音を念するにも。一心にすれはしるし
J09_0599A10: 候。もし一心なけれはしるし候はす。むかしの縁あ
J09_0599A11: つき人は。定業すらなを轉ず。むかしもいまも縁あ
J09_0599A12: さき人は。ちりはかりのくるしみにだにもしるしな
J09_0599A13: しと申て候也。佛をうらみおほしめすへからす。た
J09_0599A14: だこの世。のち世のために佛につかへんには。心
J09_0599A15: を至し。實をはげむ事。この世もおもふ事かなひ。
J09_0599A16: のちの世も淨土にむまるる事にて候也。しるしなく
J09_0599A17: は。わか心をはづへし
J09_0599B18: 建仁元年十二月十四日。けざんにいりて。とひまい
J09_0599B19: らする事
J09_0599B20: 一臨終の時不淨のものの候には。佛のむかへにわた
J09_0599B21: らせ給ひたるも。かへらせ給ふと申候は。まことに
J09_0599B22: て候か
J09_0599B23: 答。佛のむかへにおはしますほどにては。不淨のも
J09_0599B24: のありといふとも。なじかはかへらせ給へき。佛は
J09_0599B25: きよききたなきの沙汰なし。ただ念佛ぞよかるへき
J09_0599B26: きよくとも念佛申さざらんには益なし。万事をすて
J09_0599B27: て念佛を申すへし。證據のみをほかり
J09_0599B28: これは御文にてたつね申す
J09_0599B29: 一家のうちのもののしたしきうときをきらはす。往
J09_0599B30: 生のためとをもひて。くひ物きものたまはんは。佛に
J09_0599B31: 供養せんとをなし事にて候か
J09_0599B32: 答。したしきうときをえらはす。往生のためとおほ
J09_0599B33: しめして。物たびおはしまさん。めてたき功德にて
J09_0599B34: 候。御つかひによくよく申候ぬ

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