浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J09_0498A01: | 善人も惡人も。男子も女人も。十人は十人なから百 |
| J09_0498A02: | 人は百人なから。みな往生をとくる也 問ていはく。 |
| J09_0498A03: | 稱名念佛申す人はみな往生すへしや 答ていはく。 |
| J09_0498A04: | 凡念佛に他力の念佛あり。自力の念佛あり。他力の |
| J09_0498A05: | 念佛は往生すへし。自力の念佛は本より往生の志し |
| J09_0498A06: | にて申念佛にあらされば。またく往生すべからず。 |
| J09_0498A07: | 問ていはく。その他力の樣いかむ 答ていはく。 |
| J09_0498A08: | ただひとすぢに佛の本願を信し。わが身の善惡を |
| J09_0498A09: | かへり見ず。决定往生せんとをもひて申すを。他力 |
| J09_0498A10: | の念佛といふ。たとへは騏麟の尾につきたる蠅の。 |
| J09_0498A11: | ひとはねに千里をかけり。輪王の御ゆきにあひぬる |
| J09_0498A12: | 卑夫の。一日に四天下をめくるがごとし。これを他 |
| J09_0498A13: | 力と申す也。又巨なる石をふねにいれつれは。時の |
| J09_0498A14: | ほとにむかひのきしにとづくがごとし。これはまた |
| J09_0498A15: | く石のちからにあらず。ふねのちからなり。それがや |
| J09_0498A16: | うにわれらがちからにてはなし。阿彌陀ほとけの御 |
| J09_0498A17: | ちから也。これすなはち他力なり 問ていはく。自 |
| J09_0498B18: | 力といふはいかん 答ていはく。煩惱具足してわろ |
| J09_0498B19: | き身をもて。煩惱を斷し。さとりをあらはして。成 |
| J09_0498B20: | 佛すと意えて。晝夜にはけめとも。無始より貪瞋具 |
| J09_0498B21: | 足の身なるがゆへに。ながく煩惱を斷する事かたき |
| J09_0498B22: | なり。かく斷しがたき無明煩惱を。三毒具足の心に |
| J09_0498B23: | て斷せんとする事。たとへは須彌を針にてくだき。大 |
| J09_0498B24: | 海を芥子のひさくにてくみつくさんがことし。たと |
| J09_0498B25: | ひはりにて須彌をくだき。芥子のひさくにて大海を |
| J09_0498B26: | くみつくすとも。われらが惡業煩惱の心にては。曠劫 |
| J09_0498B27: | 多生をふるとも。ほとけにならん事かたし。そのゆ |
| J09_0498B28: | へは。念念步步にをもひと思ふ事は。三途八難の |
| J09_0498B29: | 業。ねてもさめても案じと案する事は。六趣四生の |
| J09_0498B30: | きづな也。かかる身にては。いかてか修行學道を |
| J09_0498B31: | して成佛はすべきや。このを自力とは申す也 問て |
| J09_0498B32: | いはく。聖人の申す念佛と。在家のものの申す念佛 |
| J09_0498B33: | と勝劣いかむ 答ていわく。聖人の念佛と世間者の |
| J09_0498B34: | 念佛と。功德ひとしくして。またくかはりめあるへ |