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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0490A01: たれとも。心をととめて是を案するにはしめにはわ
J09_0490A02: が身のほとを信じ。のちにはほとけの願を信する也。
J09_0490A03: たたしのちの信心を决定せしめんかために。はしめ
J09_0490A04: の信心をばあくる也。そのゆへは。もし初のわか身
J09_0490A05: を信する樣をあげすして。たたちに後のほとけのち
J09_0490A06: かひばかりを信すへきむねをいだしたらましかは。
J09_0490A07: もろもろの往生をねかはん人。雜行を修して本願を
J09_0490A08: たのまざらんをはしはらくをく。まさしく彌陀の本
J09_0490A09: 願の念佛を修しなからも。なを心にもし貪欲瞋恚の
J09_0490A10: 煩惱をもをこし。身にをのつから十惡破戒等の罪業
J09_0490A11: をもをかす事あらは。みたりに自身を怯弱して。返
J09_0490A12: りて本願を疑惑しなまし。まことに此彌陀の本願
J09_0490A13: に。十聲一聲にいたるまて往生すといふ事は。おほ
J09_0490A14: ろけの人にてはあらじ。妄念をもをこさす。つみを
J09_0490A15: もつくらぬ人の。甚深のさとりををこし。強盛の心
J09_0490A16: をもちて申したる念佛にてぞあるらん。われらごと
J09_0490A17: きのえせものともの。一念十念にてはよもあらじと
J09_0490B18: こそおほえんもにくからぬ事也。是は善導和尚。未
J09_0490B19: 來の衆生このうたかひををこさん事をかへりみて。
J09_0490B20: 此二種の信心をあげて。われらがごとき煩惱をも斷
J09_0490B21: ぜす。罪惡をもつくれる凡夫なりとも。ふかく彌陀の
J09_0490B22: 本願を信して念佛すれは。十聲一聲にいたるまて决
J09_0490B23: 定して往生するむねをは釋し給へる也。かくだに釋
J09_0490B24: し給はさらましかは。われらが往生は不定にそおほ
J09_0490B25: えまし。あやうくおほゆるにつけても。此釋の。こ
J09_0490B26: とに心にそみておほえはんへる也。されは此義を心
J09_0490B27: えわかぬ人にこそあるめれ。ほとけの本願をはうた
J09_0490B28: かはねとも。わか心のわろけれは往生はかなはしと
J09_0490B29: 申あひたるが。やがて本願をうたがふにて侍るな
J09_0490B30: り。さやうに申したちなは。いかほとまでか佛の本
J09_0490B31: 願にかなはず。さほとの心こそ本願にはかなひたれ
J09_0490B32: とはしり侍るへき。それをわきまへさらんにとりて
J09_0490B33: は。煩惱を斷ぜさらんほとは。心のわろさはつきせ
J09_0490B34: ぬ事にてこそあらんずれば。いまは往生してんとお

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