浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0147A01: | 旨をわきまへずは・往生の難易におゐて・存知しがた |
J09_0147A02: | きものなりと・又の給はく・學問は始て見たつるは・ |
J09_0147A03: | きはめて大事なり・師の説をつたへ習ふは易きなり |
J09_0147A04: | と・又のたまはく・口傳なくして淨土の法門を見る |
J09_0147A05: | は・往生の得分を見うしなふなり・そのゆへは極樂の |
J09_0147A06: | 往生は・上は天親龍樹をすすめ・下は末世の凡夫・十 |
J09_0147A07: | 惡五逆の罪人までをすすめ給へり・しかるをわが身 |
J09_0147A08: | は最下の凡夫にて・善人をすすめ給へる文を見て・卑 |
J09_0147A09: | 下の心をおこして・往生を不定におもひて・順次の |
J09_0147A10: | 往生を得ざる也・しかれば善人をすすめ給へる所を |
J09_0147A11: | ば・善人の分と見・惡人をすすめ給へる所をは・我 |
J09_0147A12: | 分と見て・得分にするなり・かくのごとく見定めぬ |
J09_0147A13: | れば・决定往生の信心かたまりて・本願に乘じて・ |
J09_0147A14: | 順次の往生をとぐるなりと・今此口傳との玉へるは・ |
J09_0147A15: | 隱密の云には非ず・念佛往生の法門を口づから云ひ |
J09_0147A16: | 傳ふると云ふ義なり・大師曾て鎭西上人へ・首尾八 |
J09_0147A17: | 箇年の間・口授相承し玉ひしを・又鎭西上人より・ |
J09_0147B18: | 記主禪師へ・三心四修五念・五種正行等・三經一論 |
J09_0147B19: | 五部九卷・論註安樂集等に至る迄・殘りなく口授相承 |
J09_0147B20: | あて・唯口稱の一行のみ・獨り本願の正定業にし |
J09_0147B21: | て・萬機普益の旨を・决定信知せしめ玉ふ・是を |
J09_0147B22: | 口傳とも・相傳とも・相承とも云ふ也・此趣き三 |
J09_0147B23: | 卷書・七卷書等に分明也・案ずるに・口傳に三義あり・一に甚深極秘の故に・口傳を |
J09_0147B24: | 須ひて・筆墨に不顯と云ふ義あり・二に瑣細なる事は・筆端に盡し難し・是故に口傳を用ゆ・三に甚湥秘密にも非ず・又瑣細の事にあら |
J09_0147B25: | ざれども・口傳を以て示す・例せば伏生が口授の類ひなり・今淨土宗出離の肝要は・三心具足の念佛なり・三心具足の念佛とは・往生せば |
J09_0147B26: | やと思ひて・深く本願を信して念佛する迄なり・それを連綿として・口授相承して・决定往生の心をかたむるを・口傳とはの玉ふ也・爾る |
J09_0147B27: | に此一法は經論釋の中・歷歷明明たり・別して今此御遺誓・其旨分明なり・又此口傳の事は・世法 |
J09_0147B28: | に付ても品品ある事なり・徒然艸に云く・龜山殿八十九代 |
J09_0147B29: | の帝なり・嵯峨龜山の麓に・山莊を建させ・隱居ならせ玉ふ故に龜山殿とは申す也・今の天龍寺これなり・の御池に・ |
J09_0147B30: | 大井川の水をまかせられんとて・大井の土民におほ |
J09_0147B31: | せて・水車をつくらせられけりおほくのあしを給て |
J09_0147B32: | 數日にいとなみ出して・かけたりけるに・大かため |
J09_0147B33: | ぐらざりければ・とかくなをしけれども・つゐにま |
J09_0147B34: | はらでいたづらにたてりけり・さて宇治の里人をめ |