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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0147A01: 旨をわきまへずは・往生の難易におゐて・存知しがた
J09_0147A02: きものなりと・又の給はく・學問は始て見たつるは・
J09_0147A03: きはめて大事なり・師の説をつたへ習ふは易きなり
J09_0147A04: と・又のたまはく・口傳なくして淨土の法門を見る
J09_0147A05: は・往生の得分を見うしなふなり・そのゆへは極樂の
J09_0147A06: 往生は・上は天親龍樹をすすめ・下は末世の凡夫・十
J09_0147A07: 惡五逆の罪人までをすすめ給へり・しかるをわが身
J09_0147A08: は最下の凡夫にて・善人をすすめ給へる文を見て・卑
J09_0147A09: 下の心をおこして・往生を不定におもひて・順次の
J09_0147A10: 往生を得ざる也・しかれば善人をすすめ給へる所を
J09_0147A11: ば・善人の分と見・惡人をすすめ給へる所をは・我
J09_0147A12: 分と見て・得分にするなり・かくのごとく見定めぬ
J09_0147A13: れば・决定往生の信心かたまりて・本願に乘じて・
J09_0147A14: 順次の往生をとぐるなりと・今此口傳との玉へるは・
J09_0147A15: 隱密の云には非ず・念佛往生の法門を口づから云ひ
J09_0147A16: 傳ふると云ふ義なり・大師曾て鎭西上人へ・首尾八
J09_0147A17: 箇年の間・口授相承し玉ひしを・又鎭西上人より・
J09_0147B18: 記主禪師へ・三心四修五念・五種正行等・三經一論
J09_0147B19: 五部九卷・論註安樂集等に至る迄・殘りなく口授相承
J09_0147B20: あて・唯口稱の一行のみ・獨り本願の正定業にし
J09_0147B21: て・萬機普益の旨を・决定信知せしめ玉ふ・是を
J09_0147B22: 口傳とも・相傳とも・相承とも云ふ也・此趣き三
J09_0147B23: 卷書・七卷書等に分明也・案ずるに・口傳に三義あり・一に甚深極秘の故に・口傳を
J09_0147B24: 須ひて・筆墨に不顯と云ふ義あり・二に瑣細なる事は・筆端に盡し難し・是故に口傳を用ゆ・三に甚湥秘密にも非ず・又瑣細の事にあら
J09_0147B25: ざれども・口傳を以て示す・例せば伏生が口授の類ひなり・今淨土宗出離の肝要は・三心具足の念佛なり・三心具足の念佛とは・往生せば
J09_0147B26: やと思ひて・深く本願を信して念佛する迄なり・それを連綿として・口授相承して・决定往生の心をかたむるを・口傳とはの玉ふ也・爾る
J09_0147B27: に此一法は經論釋の中・歷歷明明たり・別して今此御遺誓・其旨分明なり・又此口傳の事は・世法
J09_0147B28: に付ても品品ある事なり・徒然艸に云く・龜山殿八十九代
J09_0147B29: の帝なり・嵯峨龜山の麓に・山莊を建させ・隱居ならせ玉ふ故に龜山殿とは申す也・今の天龍寺これなり・の御池に・
J09_0147B30: 大井川の水をまかせられんとて・大井の土民におほ
J09_0147B31: せて・水車をつくらせられけりおほくのあしを給て
J09_0147B32: 數日にいとなみ出して・かけたりけるに・大かため
J09_0147B33: ぐらざりければ・とかくなをしけれども・つゐにま
J09_0147B34: はらでいたづらにたてりけり・さて宇治の里人をめ

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