浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0136A01: | 願にすかるへき也すかる心の淺さ深さはあるへけれ |
J09_0136A02: | とも己か力を加へぬに至ては有智無智共に等しかる |
J09_0136A03: | へしされは一代藏經をそらんずとも助け給へと思て |
J09_0136A04: | 賴他力名號の功德に引かれて遂往生なれは愚癡 |
J09_0136A05: | の凡夫にかはらさる也十向滿位の天親初地證得の龍 |
J09_0136A06: | 樹も文殊普賢の補處の大士も極樂を願ひ往生を求む |
J09_0136A07: | るに就ては只ひたすらに歸命の詞を述へて佛力の加 |
J09_0136A08: | 祐を仰かれける也況や今時薄下の凡夫に於てをや愸 |
J09_0136A09: | に智惠さかしくては自力聖道の得悟にさへ叶ふまし |
J09_0136A10: | きとて分別をやめ情識を忘れてなんと云ふ事なれは |
J09_0136A11: | 他力の宗風なと情識を事とすへけんやなかなかに佛 |
J09_0136A12: | 法立さか慮智に涉れるをは自力にも他力にもきらへ |
J09_0136A13: | る事也されは佛法大海以信爲源然れは念佛を信せ |
J09_0136A14: | む人は勿論なるへしたとひ自力の證悟を事としけら |
J09_0136A15: | ん人も直に進て一の信より得入すへし去程に愚癡還 |
J09_0136A16: | て極樂に往生すと云へるも情識を離れ證悟に至ると |
J09_0136A17: | 云ふも智惠をかり分別を加ふる皆是れ初心の前方便 |
J09_0136B18: | 也自力の證悟他力の往生を期する所は各別なれとも |
J09_0136B19: | 正しく得益を論するに至ては自も他も分別情識の及 |
J09_0136B20: | ふ所にあらすと也何そ愚癡の念佛を下淺と下し智解 |
J09_0136B21: | 得入を最上と執せんや愸にかく料簡しけれは我宗の |
J09_0136B22: | 甚深還て諸宗にくみす即一往の對論なるへし若し再 |
J09_0136B23: | 往眞實の極意を談する時は聖道の初心は解會を棧と |
J09_0136B24: | し淨土の行人は眞直に超入す因分果分豈同日に語る |
J09_0136B25: | へけんや佛智無相を即し佛願この益を構へは自然悟 |
J09_0136B26: | 道の密意は極めて深奧也易行易修なれは凡愚も往き |
J09_0136B27: | 易く極善最上なれは地上も生を求む下凡上聖行位悉 |
J09_0136B28: | く隔つと雖其願生を論するに上地も歸命凡下も南無 |
J09_0136B29: | 也南無を漢語に翻して歸命と云ふ唯是れ助け給への |
J09_0136B30: | 一念也然に一切の凡下智解輭弱也業障甚重也若し佛 |
J09_0136B31: | 願によらすんは何そ出離を期せむ佛智は不思議深妙 |
J09_0136B32: | 也不可疑されは決定の信心を益益深して歸命の一 |
J09_0136B33: | 念を彌彌可強唯信本願愚癡にひとしくして念佛せ |
J09_0136B34: | よと也南無阿彌陀佛 |