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J1350 一枚起請弁述 義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0132A01: りの上人に二尊を證とせる誓言の外に何の傳受をか
J09_0132A02: 隱し給ひて往生の一大事を失はせ給はんやもし實に
J09_0132A03: 言外の口傳ありとならは殘しおかれし起請の益もな
J09_0132A04: く末世凡俗の岐路に迷ふなかだちとなり上人の御往
J09_0132A05: 生もあやふくこそ侍れ其授る所の旨趣如何なる義を
J09_0132A06: か相承し侍らん覺束なしたとひ正見の類ひなりとも
J09_0132A07: 信心決定のなかだちにせんにはこの一紙に對して傳
J09_0132A08: 受し得んこと尤可誡也豈小利を見て大利の滅亡を顧
J09_0132A09: さらむや何に況や小利も稀也凡そこの一紙の趣き上
J09_0132A10: 人の御素意只是れ末世の邪義を防かんかために如
J09_0132A11: 是示し給ふ也今時はこの理に背きて種種に妄説を巧
J09_0132A12: み邪見を傳ふその説紛紛として巷に滿つ願くは早く
J09_0132A13: 止邪可勵正也
J09_0132A14: もろこし我朝にもろもろの智者達の沙汰し申さ
J09_0132A15: るる
J09_0132A16: 天台淨影等は唐土の智者也惠心永觀等は我朝の智者
J09_0132A17: 也沙汰とはゆりそろゆると云ふ心にて諸師樣樣に料
J09_0132B18: 簡せられしを云ふ也
J09_0132B19: 觀念の念にもあらす又學文をして念の心を悟り
J09_0132B20: て申念佛にもあらす
J09_0132B21: 按するに和語縱容にして多義を含みけれはこの一節
J09_0132B22: の心に樣樣の料簡あるへし凡そ觀念とは言は簡畧な
J09_0132B23: れとも義は廣し所謂理事無相等の種種の觀念可有
J09_0132B24: 其理觀と云ふは法身無相の佛躰を念する等是れ也事
J09_0132B25: 觀と云ふは報應二身を觀する等是れ也事理有相無相
J09_0132B26: 異なれとも皆觀念の念佛と可名念の心を悟りて申
J09_0132B27: とは即相と云ふ悟りの念佛也去程に學文をして所觀
J09_0132B28: の境を辨へ能觀の念を悟りて修するもあり學文はせ
J09_0132B29: ねとも師家の敎に隨て直にそれを修するもあるへし
J09_0132B30: 如是等の類一にあらされとも皆觀念の念佛也今こ
J09_0132B31: れを押へて學文をして念の心を悟りて念する觀念の
J09_0132B32: 念にもあらすと云ふ也又只學文を假りにして三心な
J09_0132B33: んどを具さに詮義計りして稱名の事を失念する人も
J09_0132B34: あり故に上人の滅後建保二年の比かかる邪義を弘む

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