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J1330 吉水遺誓諺論附録正流弁 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0057A01: ば。權化のよしを顯はし玉はんこと。驚くにたらず。
J09_0057A02: 勢觀まのあたり此不思議を感見せられける故に。大
J09_0057A03: 師遷化の後は。加茂の社壇近く居をしめて。常に參
J09_0057A04: 詣をなんせられける。勢觀房一期の行狀は。ただ隱
J09_0057A05: 遁を好み。自行を本とす。自ら法談など始められて
J09_0057A06: も。所化五六人より多くなれば。魔縁きほひなん。
J09_0057A07: ことごとしとて。とどめられなどぞしける。生年五十
J09_0057A08: 六。曆仁元年十二月十二日。頭北面西にして。念佛二
J09_0057A09: 百餘遍。最後には。陀佛の二字ばかり聞えて。息絶
J09_0057A10: 玉ひにけり。功德院加茂神宮堂也の廊にて終り玉ふに。佛
J09_0057A11: 前より異香熏じて。臨終の處にいたる。その一筋の匂
J09_0057A12: ひ數日消えざるなりと。已上勅修吉水御傳に載せら
J09_0057A13: る。御遺誓の縁起かくの如し。然るに吉水の御門弟
J09_0057A14: 多かる中に。わきて鎭西と。勢觀と。同じ法語の付囑
J09_0057A15: を受られけるは。顧ふに宿世の御契なるべし。其故
J09_0057A16: は勢觀房は。先師念佛の義道を。たがへず申す人は。
J09_0057A17: 鎭西の聖光房なりとて。常に隨喜讚歎せられけると
J09_0057B18: かや。嘉禎三年九月廿一日。鎭西に贈られける狀に
J09_0057B19: 云く
J09_0057B20: 相互不見參候。年月多積候于今存命。今一度見參。
J09_0057B21: 今生難有覺候。哀候者歟。抑先師念佛之義。末流
J09_0057B22: 濁亂。義道不似昔。不可説候。御邊一人。正義傳持
J09_0057B23: 之由承及候。返返本懷候。喜悅無極。思給候。必遂
J09_0057B24: 往生。可期引導値遇縁候者也。以便宜捧愚札。
J09_0057B25: 御報何日拜見哉。他事短筆難盡候。云云。其後文
J09_0057B26: 永の頃聖光房附法の弟子良忠上人と。勢觀房附弟蓮
J09_0057B27: 寂房と。東山赤筑地にて。四十八日の談義を始めし
J09_0057B28: 時。良忠上人を讀口として。兩流を挍合せられける
J09_0057B29: に。一として違する所なかりければ。蓮寂房の云。
J09_0057B30: 日頃勢觀房の申されし事。今既に符合しぬ。予が門
J09_0057B31: 弟に於ては。鎭西相傳を以て我義とすべし。さらに別
J09_0057B32: 流を立つべからずと。是に依てかの勢觀房の門流は。
J09_0057B33: 皆鎭西の義に依附して別流をたてずとぞ。これに
J09_0057B34: よりて思ふに。わきて此兩人に。肝要の同じ法語を

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