浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0387A01: | 問。唯心法界諸法實相の圓解なき人の。口稱念佛は |
Z14_0387A02: | 往生すれども。宿習無き故に悟りかねて。ぐづゝく |
Z14_0387A03: | べしと。然らば今時の人。念佛の往生するとも。悟 |
Z14_0387A04: | ることの成らぬにや。 |
Z14_0387A05: | 答。卽心念佛の人は。唯心淨土を欣び。自性の彌陀を |
Z14_0387A06: | 賴み。娑婆にてはや自ら生見を離るゝと云へば。生見 |
Z14_0387A07: | を離れたれば。悟忍の大菩薩なるべし。此れ此土入證 |
Z14_0387A08: | 得果の人にて。阿彌陀佛の四十八願莊嚴淨土をば。欣 |
Z14_0387A09: | 樂せぬ人なり。唯心の淨土は機の感見に依るなれば。 |
Z14_0387A10: | 圓解開けずばいかにも悟りかねて。ぐづゝき。巡禮宿 |
Z14_0387A11: | に手枕して居らるべし。傷哉淨土宗の意は男女老少 |
Z14_0387A12: | 貴賤貧富智愚善惡の差別なく。單信口稱の念佛にて。 |
Z14_0387A13: | 彼國界に到りぬれば。極樂の土德として衆生生ずる |
Z14_0387A14: | ものは皆是阿鞞跋致なれば。平等に無生忍を得るな |
Z14_0387A15: | り。同一念佛にして。別道無き故に同じく正覺の蓮華 |
Z14_0387A16: | より化生するなり。卽心念佛の人の圓解なき人。是を |
Z14_0387A17: | 見たればうらやむべし。口稱念佛は佛の本願なるが |
Z14_0387B01: | 故に。本願に順ずるが故に。亦釋迦如來の敎に順ずる |
Z14_0387B02: | なり。釋尊の敎に順ずるが故に。十方恒沙の證誠に順 |
Z14_0387B03: | ずるなり。所順旣に無上の果佛なるが故に。能順の心 |
Z14_0387B04: | 不レ覺。轉入二眞如門一なり。 |
Z14_0387B05: | 問。悟りかねてぐずつくと云ふは。淨土宗の念佛の |
Z14_0387B06: | ことなるが故に。大阿彌陀經をぐづゝく證據に引 |
Z14_0387B07: | かれたるは如何。 |
Z14_0387B08: | 答。阿彌陀如來の莊嚴淨土に。稱名念佛を以て往生す |
Z14_0387B09: | るを悟りかねて。ぐづゝくと云ふは。古今未曾有の惡 |
Z14_0387B10: | 口。無根の妄談なり。王日休が校集の大阿彌陀經を見 |
Z14_0387B11: | ざるとも。能く書きあてたりと自讃致さるゝは。心底 |
Z14_0387B12: | 見へ透ていとあさましきことなり。王氏が經を引か |
Z14_0387B13: | ずとも。觀經に明かにあることなり。十二大刧六刧十 |
Z14_0387B14: | 小刧等の間。蓮華に含まれたるを何とてぐづゝく證 |
Z14_0387B15: | 據には引ざるや。觀經は觀を明かす理持の念佛なる |
Z14_0387B16: | が故に勝れ。大小二經は事持の念佛にて劣れりと云 |
Z14_0387B17: | ふて。淨土の念佛を推し下さんと巧て。妄立せられた |