ウィンドウを閉じる

Z1450 即心念仏談義本或問余説 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0320A01: しと。云ふやうなることなり。いかなる。初心の儒學者
Z14_0320A02: にても。大いに笑ふべきことなり。論註などに。在心。
Z14_0320A03: 在緣。在決定とあるは。なくて叶はぬ。在の字なり。此
Z14_0320A04: れ乃ら下品下生の十念と。五逆十惡との。輕重を語る
Z14_0320A05: ゆへ。其輕重は。在心。在緣。在決定と云へるなり。臨
Z14_0320A06: 終猛利決斷の心に。在決定と。在の字を加ふるは。な
Z14_0320A07: んの義理ありや。義理なき文字を。加るゆへ。甚だ可
Z14_0320A08: 笑なることなり。彼の人。加樣の譯もなきことを。云
Z14_0320A09: はるべき樣は。決定して。なきことなれども。加樣に
Z14_0320A10: 云はるゝは。とかく文盲なることは。誰れが上にも。
Z14_0320A11: 多くあるものと。見へたり。 動念とは。卽ち安樂義
Z14_0320A12: の。命斷の時にて。なるほど。時節は。同じことなれ
Z14_0320A13: ども。動念と云は。在定の反對なり。何ぞ異解すべき。
Z14_0320A14: 且つ動念と云ふ言ばは。擧心動念とて。平生の上に
Z14_0320A15: も。用ゆる言ばなれば。命斷を。必ず動念とは。云ひ難
Z14_0320A16: きことなり。十念纔かに動て。 此云分は。動念と
Z14_0320A17: 云は。十念を動ずと云ふ意と。見たるなり。十念を動
Z14_0320B01: ずと云ふこと。終に見及ばず。聞き及ばぬことなり。
Z14_0320B02: 笑。古歌に。もろこしも。夢に見しかは。近かりき。
Z14_0320B03: 思はぬ中ぞ。はるけかりけると。讀る意なるべし。
Z14_0320B04: 此歌を。なにと云心にて。引かれたるや。不審なれど
Z14_0320B05: も。難ぜず。因て臈印夢遊の喩。甚だ明かなり。定
Z14_0320B06: 散の定なれば。彌々明かなりと。此方には。存するな
Z14_0320B07: り。趙宋以來。十疑の文を解するに。其二家あり。一
Z14_0320B08: 者平生に約す。此れ又譯もなきことを。云はるゝな
Z14_0320B09: り。十疑の文を解すと云はるゝ。解の字は。解了か。解
Z14_0320B10: 說か。解釋かなるべし。何れにもせよ。彼の人の云は
Z14_0320B11: るゝ通りにては。靈芝。幽溪の說が甚だ相違せるこ
Z14_0320B12: とにて。曾て請取られぬことになるなり。已に明か
Z14_0320B13: に。臨終在定の心とあるに。平生に約すとは。なにと
Z14_0320B14: して云へるや。甚だ文に背きたる料簡なり。謂く若
Z14_0320B15: し心性○時なりと。云云 此云ひ分は。幽溪の生無生
Z14_0320B16: 論の意なり。靈芝の阿彌陀經の疏の意とは。違へり。
Z14_0320B17: 幽溪の論も。又只十疑論の心に似たることを。云はる

ウィンドウを閉じる