ウィンドウを閉じる

Z1380 即心念仏談義本弁惑編 殊意痴 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0033A01: 卽心念佛談義本辨惑編
Z14_0033A02:
Z14_0033A03: 今玆は。盆會も過ぬれど。殘暑も凌がたく。此に彳みか
Z14_0033A04: しこに倚て。風を招夕暮。或人來て。閑に談する序に。
Z14_0033A05: 客曰。頃日書肆に新板の書あり。卽心念佛談義本と題
Z14_0033A06: す。台家理事の念佛の談義なり。而るに善導法然の勸
Z14_0033A07: め玉ふ事相の念佛は。佛の本意に非ず。理持よりは
Z14_0033A08: 大に劣り。又娑婆にて無生の解會なきものは。淨土に
Z14_0033A09: 生れても悟開がたく。品位も劣し樣に聞ぬ。大學者の
Z14_0033A10: 談義なれば。其ゆへあることにやと。日比の安心も。
Z14_0033A11: ゆるぎて覺ゆ。吾儕愚蒙の者は。何に決定せんや。委
Z14_0033A12: 書誌て玉へ。同行の方軌にせんと。予問。誰人の選述ぞ
Z14_0033A13: や。客の曰。幻々庵の老比丘なりと。予曰。爾ばさもあ
Z14_0033A14: りなん。此老漢は。動すれば淨土宗を是非せられ。圓
Z14_0033A15: 底方蓋の義を以て。淨土の正意などゝ自讃せらる。無
Z14_0033A16: 慚愧の滓沙門なれば。今更辨ずるにをよばず。客愕て
Z14_0033A17: 曰。大矣哉子か言耶。曾て此の師に隨從して。能其非
Z14_0033B01: なることを知乎。予曰。不然。此老漢は當時叡嶽の碩
Z14_0033B02: 德。律家の老宿なり。余若面謁して縱小★を知とも。
Z14_0033B03: 何夫れ是を擧て譏嫌すべきや。況や街談途說をや。今
Z14_0033B04: 滓沙門と云は。立義詰理載在方策。旁觀記の僻釋は
Z14_0033B05: 匡解に正之。止訛には列十種惡癖。此等の書天下に
Z14_0033B06: 散在し。萬代に流行せんに。人焉廋哉。このゆへに。余
Z14_0033B07: 斯謂のみ。本より聖道淨土。各別の宗意なれば。是非
Z14_0033B08: すべきに非ず。併もし我が家の安心に。害あることな
Z14_0033B09: らば。他日辨之。客喜で去ぬ。其後目前の事に。紛冗
Z14_0033B10: して延引す。亦頃日或上人の此義を。物語せられしに
Z14_0033B11: 思出て。書林に得一本周覽し。客が先日の求に應し。
Z14_0033B12: 節辨邪解事相念佛者のまどひを。わかてば。辨惑
Z14_0033B13: と題するものなり。
Z14_0033B14:   時
Z14_0033B15:    享保十三戊申凉秋中旬援筆洛東白河上寓舍
Z14_0033B16:
Z14_0033B17:

ウィンドウを閉じる