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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0401A01: ○用心
Z08_0401A02: ○顯性房云。むかしは後世をおもふものは。上臈は下
Z08_0401A03: 臈になり。智者は愚者になり。德人は貧人になり。能
Z08_0401A04: あるものは無能にこそ成りしが。今の人は。これにみ
Z08_0401A05: なたがへり。我は高野に。はじめも中頃も。ひざしくあ
Z08_0401A06: りしかども。梵字一もならはず。名利を捨るならひに
Z08_0401A07: は。ある能をだにもこそすつれ。ならふ事はうたてし
Z08_0401A08: きことなり。我は三十餘年。さ樣のこと。しらじとな
Z08_0401A09: らひしなり。よくすつれば。すてぬもの〻樣にてある
Z08_0401A10: なり。名利を捨るといへばとて同行をはぢず。紙衣ひ
Z08_0401A11: とつもとめて。きるほどの事をいふにはあらず。これ
Z08_0401A12: ほどの名利は後世をたすくるなり。
Z08_0401A13: ○上臈は下臈になり。出家の後。年をへて位たか
Z08_0401A14: きを上臈といひ。下座の僧を下臈といふなり。○德
Z08_0401A15: 人。たからおほき人也。○名利を捨るといへばと
Z08_0401A16: て。徒然草。そのうつはもの。むかしの人に及
Z08_0401A17: ばず。山林に入ても餓をたすけ。嵐をふせぐよすが
Z08_0401A18: なくては。あられぬわざなれば。をのづから世をむ
Z08_0401A19: さぼるに似たる事も。たよりにふれば。などかなか
Z08_0401A20: らん云云。○法然上人。自身安穩にして。念佛往生
Z08_0401B01: をとげんがためには。何事もみな念佛の助業也。已上
Z08_0401B02: 要集。凡夫行人。要衣食。此少緣也ト
Z08_0401B03: 大事。裸餧ニM(シテ)ンハラカ。道法焉ンソ已上
Z08_0401B04: ○明禪法印云。眞實に後世をたすからむと思はんに
Z08_0401B05: は。遁世がはや第一のよしなき事にて有けるぞ。
Z08_0401B06: ○明禪法印云。こと〲しく。遁世だてをあらは
Z08_0401B07: すが。あしきなるべし。
Z08_0401B08: ○又云。ひじりは。わろきがよきなり。
Z08_0401B09: ○わろきがよきなり。よき名をこれば。さはりおほ
Z08_0401B10: し。萬は無能なりとも。まことだにあらば。往生は
Z08_0401B11: すべき也。
Z08_0401B12: ○敬佛上人のもとにて。人々後世門の事につきて。あ
Z08_0401B13: らまほしき事ども。ねがひあひたりけるに。或云椎尾四郞
Z08_0401B14: 郞太法門なき後世物語云云。上人感M(シテ)。いみじくねが
Z08_0401B15: へり。そ髓をえたる事。これにしくべからず。
Z08_0401B16: ○法門なき後世物語。あながちに經釋をも引かず。
Z08_0401B17: さのみ問答にもをよばず。直に生死無常の事をか
Z08_0401B18: たりて。道心をはげまんとなり。○いみじくねがへ
Z08_0401B19: り。よきねがひやうなり。○その髓を得たり。後
Z08_0401B20: 世者の最要をいひ得たりと也。達磨二祖の見處をほ

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