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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0388A01: といふ心也。○但信稱名。うちかたぶきて御名を
Z08_0388A02: となふる事也。
Z08_0388A03: ○明禪法印云。た▲よく念佛すべし。石に水を(此喩出于運命
Z08_0388A04: かくるやうなれとも申さば益ある也。
Z08_0388A05: ○石に水。口ばかりにて。心にしまぬたとへなり。
Z08_0388A06: われながら殊勝氣なくとも。た▲中に申せば。かの
Z08_0388A07: 聲み〻に入て。遂には信心を申しいだす也。其音叩
Z08_0388A08: といふ是なり。
Z08_0388A09: ○法然上人云。稱名念佛は。樣なきを樣とす。身の振
Z08_0388A10: 舞。心の善惡をも沙汰せず。念比に申せば往生する也。
Z08_0388A11: ○樣なきを樣とす申やう也。念佛申には。何の沙汰
Z08_0388A12: もなし。○身のふるまひ。士農工商。萬のいとなみ。
Z08_0388A13: ○心の善惡。煩惱妄念のおこるおこらぬ。○沙汰
Z08_0388A14: 取捨の義也。
Z08_0388A15: ○又云。十聲一聲等の釋は。念佛を信ずる樣。念々不
Z08_0388A16: 捨者等は。念佛を行ずる樣なり。
Z08_0388A17: ○十聲一聲等の釋。禮讚。上盡一形。下至
Z08_0388A18: 聲一聲等。以佛願力。易往生已上○念々不捨者。
Z08_0388A19: 散善義。行住坐臥。不時節久近念々
Z08_0388A20: 捨者。是正定之業。順佛願已上
Z08_0388B01: ○賀古敎信は。西には垣もせず。極樂と中をあけあは
Z08_0388B02: せて。本尊をも安ぜず。聖敎をも持せず。僧にもあらず。
Z08_0388B03: 俗もあらぬ形にて。つねに西にむかひて念佛して。其
Z08_0388B04: 餘は忘れたるがごとし。
Z08_0388B05: ○賀古敎信。賀古は播磨の郡の名也。敎信の事は。
Z08_0388B06: 保胤の往生記。十因などに見えたり。○本尊をも安
Z08_0388B07: ぜず。安は安置也。○俗にもあらず。妻子あるがゆ
Z08_0388B08: へに。○俗にもあらず。剃染の形なれば也。
Z08_0388B09: ○淨土谷の法蓮上人は。資緣省略のうへ。形のごとく
Z08_0388B10: (アサ)()し。往生極樂のつとめにわすられて。世のつね
Z08_0388B11: ならず。是がために。これをいとなむ念佛。心に入とき
Z08_0388B12: は。飯にもあらず。粥にもあらぬ體なり。年にしたがひ。
Z08_0388B13: 日を〻ひて容顏おとろへ。身力つきぬ。良友たづねき
Z08_0388B14: たりて訪し返事(これを空也の歌といふは。附會の說なるべし。いかにも法蓮のよみ給へる
Z08_0388B15: 歌と見ゆ)西へ行く。すち一つたにたかはすは。骨と皮とに
Z08_0388B16: 身はならはなれ。
Z08_0388B17: ○淨土谷。洛東淨土寺山の北の谷なり。されぼ白
Z08_0388B18: 川の法蓮房ともいへり。○資緣省略。衣食道具か
Z08_0388B19: ろく。つ▲まやかにし給へる也。
Z08_0388B20: ○朝喰朝夕の飯を。あさげゆふげといふ。○西へ

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