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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0084A01: ふことなかれ云云。聖覺法印の唯信抄。往生の業。
Z08_0084A02: 一念にたれりといふは。その理まことにしかるべし
Z08_0084A03: といへども。遍數をかさぬるは不信なりといふ。すこ
Z08_0084A04: ぶるその語すぎたりとす。一念をすくなしと思ひて。
Z08_0084A05: 遍數をかさねずば往生しがたしとおもは▲。まこと
Z08_0084A06: に不信なりといふべし。往生の業は。一念にたれりと
Z08_0084A07: いへども。いたづらにあかし。いたづらにくらすにい
Z08_0084A08: よ〱功をかさねん事。要にあらずやとおもひて。こ
Z08_0084A09: れをとなへば。ひめもすにとなへ。夜もすがらとなふ
Z08_0084A10: とも。いよ〱功德をそへ。ます〱業因決定すべし
Z08_0084A11: 云云。又云。一念決定しぬと信じて。しかも一生おこた
Z08_0084A12: りなく申べきなり。已上●(五九)本願の文に。乃至十
Z08_0084A13: 念とあり。成就の文に。乃至一念とあるは。ともに臨
Z08_0084A14: 終にかぎる事なり。一生造罪の人。臨終にはじめて名
Z08_0084A15: 號をとなへ。二念にをよばすして命をはり。第十念に
Z08_0084A16: して息のきる〻ものを。一念十念にて攝取し給ふと
Z08_0084A17: いふなり。それをあしく料簡して。ひとへに平生にと
Z08_0084A18: りなして。一念の義をたつるなり上人御消息の心なり。すでに乃
Z08_0084A19: 至といふは。多より少にむかひ。平生より臨終にむか
Z08_0084A20: ふ詞なり。釋にも上盡一形。下至十聲一聲等とあり。
Z08_0084B01: 是は當流の心なり。選擇集。諸師之釋ニハ。別M(シテ)十念往生
Z08_0084B02: 。善導獨M(シテ)ヘリ念佛往生。諸師M(シテ)ヘルハ
Z08_0084B03: 十念往生者。其卽不周也。所-以然者。上
Z08_0084B04: 一形。下捨ツルカ一念之故也。善導M(シテ)ヘルハ
Z08_0084B05: 佛往生者。其ネシ也。所-以然者。上
Z08_0084B06: 一形。下一念之故也。已上●(六〇)十二問
Z08_0084B07: 答。黑田消息等にあり。●(六一)信は行をす〻め。行
Z08_0084B08: は信をす〻め。旋火輪のごとくすべし。●(六二)右
Z08_0084B09: の詞の評量なり。●(六三)上人禪勝房にしめし給ふ
Z08_0084B10: 御詞に云。一念十念にて往生すといへばとて。念佛
Z08_0084B11: を疎相に申せば。信が行をさまたぐるなり。念々不
Z08_0084B12: 捨者といへばとて。一念十念を不定におもへば。行
Z08_0084B13: が信をさまたぐるなり。已上●(六四)一念十念にて
Z08_0084B14: も。往生はとぐべしとおもへ。上人。一念を不定
Z08_0084B15: におもへば。念々の念佛ごとに不信の念佛になる
Z08_0084B16: なり。そのゆへは阿彌陀佛は。一念に一度の往生を
Z08_0084B17: あてをき給へる願なれば。念ごとに往生の業とな
Z08_0084B18: るなり。●(六五)念佛の法は。心の相續を本とす。懈
Z08_0084B19: 怠なれば無間修にそむくなり。淨土用心。一念十
Z08_0084B20: 念にも往生はすれども。おほく申せば上品にうまる

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