浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0002A01: | 當なること。執持名號の一法にしくはなし。是すなは |
Z08_0002A02: | ち。かの佛の本願の行なるがゆへなり。然るに。時澆 |
Z08_0002A03: | 季に屬して。人正見すくなし。念佛にをいて邪義を |
Z08_0002A04: | まうけ。妄情にまかせて聖敎をみだり。無智の男女を |
Z08_0002A05: | たぶらかし。まどはすもの。譊々として華夷に散在せ |
Z08_0002A06: | り。まことにこれ大悲佛願の怨歒なり。寧また獅子身 |
Z08_0002A07: | 中の蟲にあらずや。た▲すべからく黑谷の正流を |
Z08_0002A08: | くむべし。かりそめにも白俗の邪風になびくこと勿 |
Z08_0002A09: | れ。そも〱京極淸淨花院向阿上人は。淨土鎭西一 |
Z08_0002A10: | 流の名匠にして。すなはち禮阿和尙の上足たり。そ |
Z08_0002A11: | の德。智道をそなへて。その才。內外にわたり。文筆 |
Z08_0002A12: | たくみにして。和歌の道に名あり。いはゆる兼綜衆藝 |
Z08_0002A13: | の上人なり。元享のころほひ。まのあたり佛勅をうけ |
Z08_0002A14: | て。三部七册の鈔を述作し給へるに。因人重法のいは |
Z08_0002A15: | れなれば。渴仰の緇素展轉してきそひうつし。念佛の |
Z08_0002A16: | 家には。これをとりて祕要とせり。されども。時運 |
Z08_0002A17: | いまだいたらずして。流芳とをからず。上人の滅後 |
Z08_0002A18: | 七十餘年にをよびて。江州淨嚴院の隆堯法印。はなは |
Z08_0002A19: | だ此鈔を尊信して。瑞夢を得給へるに。たま〱鈔 |
Z08_0002A20: | 主の忌日にあたりしかば。感歎にたえず。是を開板し |
Z08_0002B01: | て。ひろく世につたへたまひぬ。しかあるに。かの印 |
Z08_0002B02: | 本。當世には見をよび侍らず。おもふに。應仁の兵燹 |
Z08_0002B03: | にか〻りて。舊板は烏有となり。その本もまた散亡せ |
Z08_0002B04: | るなめり。近年重刊の本。幸にいでたれども。あるは |
Z08_0002B05: | 和語をかろしめて。なをざりにし。あるは難辭にさえ |
Z08_0002B06: | られてをろそかにす。惜かな。玄を知るに人なくして。 |
Z08_0002B07: | 徒に卞璧の埋ること。爰に京師の愚公。乳水眼を具し |
Z08_0002B08: | て。ふかく此鈔を解し。老婆心をもて。はじめてこれを |
Z08_0002B09: | 講ぜられしに。四衆の聽者。席をあらそひて。をの〱 |
Z08_0002B10: | 歎賞歡喜すること。たとへば久旱の初雨にあへるが |
Z08_0002B11: | ごとし。これより心をおこし。行をたつる人おほかり |
Z08_0002B12: | けり。まさに今。都鄙の貴賤。此抄をうやまふ事佛 |
Z08_0002B13: | 經のごとし。念佛の行者たれば。これをよまざる |
Z08_0002B14: | を耻辱とし。これを信せざるを邪見とす。こ〻にをい |
Z08_0002B15: | て抄主の嘉名。ふた〻び海內にふるふ。これしかしな |
Z08_0002B16: | がら愚公發揮の力なり。予かの講莚にもれぬるは。す |
Z08_0002B17: | こぶる遺憾なれども。當寺相傳の古本を得て。此抄を |
Z08_0002B18: | 信ずる事年あり。かつて甘心してこれをよむに。經釋 |
Z08_0002B19: | の微隱を發明し。未曾有の妙趣をしめす。義をたつる |
Z08_0002B20: | こと公にしてかつやすく。詞をのぶること雅にし |