浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0398A01: | がて脛を折。觜をたれて。いたく謹かたちをなせ |
J18_0398A02: | り。師直に十念を授給ひければ。御聲の度毎に。は |
J18_0398A03: | しを動し。十念を受奉るがごとし。ややありて。い |
J18_0398A04: | とうれしげに。羽たたきして。雲井遙に飛さりぬ。 |
J18_0398A05: | 昔淨影大師の御寺に。鵞鳥のすみて。常に大師の御 |
J18_0398A06: | 説法を。謹で聞けるさましたりと。德化の飛禽にお |
J18_0398A07: | よぶこと。古今これ同じきものか。 |
J18_0398A08: | 智圓尼は。師の母堂なり。師の誕生のはじめより。 |
J18_0398A09: | 一かたならぬ奇瑞をも。感見し給ひしかば。專心念 |
J18_0398A10: | 佛の外。他事なかりけり。師は至孝の志ただならざ |
J18_0398A11: | るからに。山川遙に隔ながら。母堂の御爲に。日日 |
J18_0398A12: | 十念授まゐらする事を。常例とはし給へり。喜平 |
J18_0398A13: | 次。いま師のここに住せたまふを幸に。猶あかぬこ |
J18_0398A14: | ころより。母堂をも迎へまゐらせばやとおもひて。 |
J18_0398A15: | 其よしこひ申ければ。母堂よろこびて。取あへず攝 |
J18_0398A16: | 州に趣れけり。母子邂逅の對面。御よろこびいはん |
J18_0398A17: | かたなし。母堂のたまひけるは。まづ謝し申べき |
J18_0398B18: | は。上人は毎朝時も違はで。御十念授給はる事の。 |
J18_0398B19: | うれしさよとぞ申されけるを。本勇かたはらに聞居 |
J18_0398B20: | しが。後にその事いかにと問けるに。朝毎に。光明 |
J18_0398B21: | の中に。師の十念の姿ををがみまゐらする也と答ら |
J18_0398B22: | れけり。喜平次。また此序をもて。母堂に京攝の靈 |
J18_0398B23: | 地をも巡拜せさせんとて。本勇尼を添て出たたせ |
J18_0398B24: | ぬ。そのころも。朝毎に師の十念の相を拜せられし |
J18_0398B25: | は。おなじ事なりしとぞ。 |
J18_0398B26: | 紀州前黄門太眞公より。仰言ありて。願くは。國内 |
J18_0398B27: | いづれの山にても。心にまかせて勤らるべきよし。 |
J18_0398B28: | 御使兩度に及ひしかば。師かしこまりて。攝州を |
J18_0398B29: | 去。再須が谷の庵にぞ歸られける。ことし。公の御 |
J18_0398B30: | 母君淸心院殿かくれさせ給ひしかば。御菩提の爲に |
J18_0398B31: | とて。その御館を賜りて。須ケ谷の山に移改て。是 |
J18_0398B32: | を師の庵室とはなさせ給へり。尊靈もとより師に厚 |
J18_0398B33: | く御歸依ありしを。公もしろしめしけるより。御か |
J18_0398B34: | たみにもとおぼしめしたるなるべし。師。明のとしの |