ウィンドウを閉じる

J2750 徳本行者伝 行誡 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0396A01: 住吉の北に。赤塚山といへる松山は。吉田氏の地所
J18_0396A02: なりければ。此山中に草庵作りて。師を請じ奉り。
J18_0396A03: 日日の齋食資用。すべて供養しけり。毎月十五日に
J18_0396A04: は。遠近の老少かぎりもなく詣來るに。各名號一枚
J18_0396A05: づづを授與せられて。ひたすらに日課念佛をぞ勸給
J18_0396A06: ける。件の名號を。病人或は産婦など拜服するに。
J18_0396A07: 果して利益を得。靈驗を蒙るもの。あまた有ける故
J18_0396A08: に。人人これを拜服名號とぞ稱しける。
J18_0396A09: 本勇。本名の兩尼は師の須ケ谷にて山居のころ。山
J18_0396A10: の麓に庵造りて。念佛せしに。本名は早く往生をぞ
J18_0396A11: 遂にける。本名。およびその母の行實。臨終のさまなど。南紀往生傳に出たり今は唯影にと
J18_0396A12: もなふ窓のもとに。心ぼそくのみ過しけるが。師も
J18_0396A13: 此ごろ攝州へうつらせ給ひてのちは。いとど燈火の
J18_0396A14: 消ぬる心地やらんかたなくて。哀この身のあらんか
J18_0396A15: ぎりは。御庵近くもなどおもひ定て。同年秋の末つ
J18_0396A16: かた。心強も須ケ谷を立出て。攝州のかたへぞ趣け
J18_0396A17: る。師は其ころ。西の別莊にいましけるよし聞けれ
J18_0396B18: ば。いざとてつとめて行。西宮わたりにて。日はは
J18_0396B19: やく暮にけり。ちまた幾つにもわかれたれば。いづ
J18_0396B20: れをいづれと。定べきやうもあらぬを。とある小路
J18_0396B21: より身のたけいとひききをとこ獨出きて。我ゆくか
J18_0396B22: たへといへるに。嬉しくて。つきて行。其をとこの
J18_0396B23: いへらく。ここは日本第一の。惠比壽の神のいます
J18_0396B24: 宮也。尼公も。此御神には縁しあるを。道のついで
J18_0396B25: もよろしければ。參詣せずやといふ。本勇はもと鹽
J18_0396B26: 津の産にて。城堭も惠比壽の御神なるを。この男の
J18_0396B27: いかにして。しりけんなど。あやしみもあらで。さ
J18_0396B28: らばとて。ひかるるままに。社の門に至りぬ。かた
J18_0396B29: く扉したる門を。このをとこ指にておしたるやうな
J18_0396B30: りしが。兩の扉。さとひらきたり。入たちて。ここ
J18_0396B31: は本殿。ここは末社など。つばらにさとし示さるる
J18_0396B32: まま。伏拜みつ。裏門の處にても。先の如くにし
J18_0396B33: て。門おしひらきて出たり。道すがらも。さまざま
J18_0396B34: のたふとき物語どもしつつ。行ともなく。吳田近來り

ウィンドウを閉じる