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J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0308A01: ありて。快く淨業を修し。兼て緇素を勸誘化益せら
J18_0308A02: る。
J18_0308A03: 晩年その德益高く。其名いよいよきこえて。伊豫の
J18_0308A04: 松山。長建寺より招請す。師再三固辭せられしかば。
J18_0308A05: 城下の何某氏。或寺僧とはかりて。護法利人のため
J18_0308A06: なればとて。強て懇請しける故。止ことを得ず。遂
J18_0308A07: に彼寺に往て住持せり。しかはあれども。師初めよ
J18_0308A08: り約定して。檀家の送葬追福等の事には一度も趣か
J18_0308A09: れず。ただ閑窓無爲に專心念佛し。いとまあれば講説
J18_0308A10: をもて有縁を化益せられけり。かくて兩三年を經て
J18_0308A11: 後。松山の太守師を請じて。その香華の地大林寺と
J18_0308A12: いふに移轉せしめ。かねて國中の僧機をも正さんと
J18_0308A13: おもひ給ひければ。崇敬尤ふかかりけり。師その請に
J18_0308A14: 應ぜしより。その士太夫のためには。政敎資治の要を
J18_0308A15: 賛述し。政に預る人は。老莊の學をも常に明らむべ
J18_0308A16: しなどまうされ。又緇門法中のためには。戒乘を兼
J18_0308A17: 談し。勸懲をもはらとし。不軌のもの三ケ院まで擯
J18_0308B18: 斥せられしかば。自他宗門僧機大に觀をあらためけ
J18_0308B19: り。嚴主に悍虜なく。慈母に敗兒あり。寬にして容
J18_0308B20: ことを要すとも。敎はかならず嚴なるべしと。常にま
J18_0308B21: うされける。
J18_0308B22: 安永十年。辛丑正月。師洛東岡崎。俊鳳和尚の草庵
J18_0308B23: にして。大乘圓頓菩薩僧戒。授受の作法をひらかれ
J18_0308B24: ける。その時和尚護持の寶塔中。白色の佛舍利二
J18_0308B25: 顆。塔中にて相合して動き給はざりけり。これなん
J18_0308B26: 二師至誠の感應にして。亦ただ大乘僧戒佛意に相か
J18_0308B27: なふ事を證明し給へるなるべし。實に不思議のことに
J18_0308B28: て侍りける。
J18_0308B29: 此上洛のあとにや。師數月不在の間。弟子の尼何
J18_0308B30: 某。非法のことありときこえければ。歸寺の後。忽
J18_0308B31: 門籍を除き。法衣を脱却せしめ。門前にして擯斥の
J18_0308B32: 法を行へり。あまりに嚴刻に過たりとて。なだむる
J18_0308B33: ものありけれどもきかず。その尼はしかも。松山勢
J18_0308B34: 要の士の女なりしがども。師道義するどく。氣象た

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