浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0305A01: | 道俗となく。必ず雲説和尚を讃して。地藏ぼさつ |
J18_0305A02: | なりといふ。みづから古佛なることをしらずし |
J18_0305A03: | て。何の饒舌ぞや。思ふに兩鏡相照らして。中に |
J18_0305A04: | 影像を見ざるものか。内鑑冷然。他の知る所にあ |
J18_0305A05: | らず。ただあふひで信ずべきものなり。 |
J18_0305A06: | 師安藝國嚴島の明神に參詣し。法種增長を祈念し。 |
J18_0305A07: | 其奇絶なる佳境に心をすましめ。ちなみに光明院に |
J18_0305A08: | いたり。五時勤行の規則。威儀甚嚴誠殊勝なるあり |
J18_0305A09: | さまを見聞して。匡廬の古風。ただ此寺に留りある |
J18_0305A10: | かとまでに思はれしとなん。 |
J18_0305A11: | 師ある年高野山にのぼり。密門阿闍梨にしたがひ |
J18_0305A12: | て。瑜伽三密の秘法を傳受せらる。 |
J18_0305A13: | 師年三十ばかりの頃。備後國。尾道。何某氏の家に |
J18_0305A14: | 寄宿して。一大藏經を披閲せらる。その間小齋二 |
J18_0305A15: | 時ともに。粥のみを食して。飯を受用せずして。精 |
J18_0305A16: | 覽せらる。これ睡眠を除きて。身心輕安ならんとて |
J18_0305A17: | なるべし。かくて遂に閲藏功終りて。またまた聖道 |
J18_0305B18: | 自力の解行。末世の機根に堪ず。淨土他力の信行。 |
J18_0305B19: | 我曹に相應せることを决心し。頓敎一乘一世成就の |
J18_0305B20: | 妙策は。ただ往生極樂の修行にありけりと。更に感 |
J18_0305B21: | 喜せられけり。 |
J18_0305B22: | 伊豫國岩城島。淨光寺の檀越。師の芳名を聞傳へ來り |
J18_0305B23: | て。かの寺に住職せられんことを願ひしかば。師い |
J18_0305B24: | はく。我に老父あり。これを養ふほどの。資縁あり |
J18_0305B25: | やと尋ねられしに。彼等。そはともしからず供養し |
J18_0305B26: | 奉らんと。輙くこれを首肯ければ。師すぐに彼寺に |
J18_0305B27: | 往て住持せられけり。やがて老父を迎へて。孝養心 |
J18_0305B28: | を盡されしに。その父篤く師の勸誘に歸して。專修 |
J18_0305B29: | 念佛誓て怠らず。薰修功深して。遂に寶曆七年。丁丑 |
J18_0305B30: | 十二月十日に。臨末正念にして命終せらる。師常に |
J18_0305B31: | 人にかたりて。我父直によく本願を信じ。念佛勇進 |
J18_0305B32: | して。吉祥に死去せり。往生淨土少も疑なしとまう |
J18_0305B33: | されけり。思ふに靈告にてもありしなるべし。その |
J18_0305B34: | 母は。父に先達て世を早ふし給ひけり。師日日誦經 |