浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0303A01: | 師年二十宗規に凖じ。東武三縁山增上寺に掛籍し。 |
J18_0303A02: | もはら自他の聖敎を學はるるに。博學多識。頴悟敏 |
J18_0303A03: | 捷にして。精勤進修さらに比類なし。入ては螢雪の |
J18_0303A04: | 窓に寢食を廢して。繩錐苦學さらに怠らず。出ては論 |
J18_0303A05: | 塲の會に席を重ねて。慧解秀逸の譽高く濟輩欽崇し |
J18_0303A06: | て歎伏せざるものなし。その頃華嚴の覺州。江戸に |
J18_0303A07: | て唯識論述記の講莚を開れしに。師もその聽衆にて |
J18_0303A08: | 有けるが講主の所解いささか意に適せざる事ありし |
J18_0303A09: | 故。或時殊更に行て謁を乞て。覺州を難して論義せ |
J18_0303A10: | らる。師覺州に屈せずしていへらく。我若百日閉關 |
J18_0303A11: | せば。述記を講ぜんこと難からじ座主の講は聞に足ず |
J18_0303A12: | とてされり。其後覺州和泉の堺にて。重て述記を講 |
J18_0303A13: | せられし時。此事を語出て他日師の學解さだめて增 |
J18_0303A14: | 進せん後世怖べしと讃歎せられけるとぞ。 |
J18_0303A15: | 師法﨟漸たけにしかは。宗戒兩脈の禀受も障碍なく |
J18_0303A16: | 成し後。ひたすら名利の榮進をいとひ。もはら潜修 |
J18_0303A17: | 密證の志操深かりしゆゑ。やがて衆僧の交をさけ。 |
J18_0303B18: | 學席を辭して。一包飄然として。京師に登り。洛西 |
J18_0303B19: | 長時院の湛慧和上を拜し。菩薩の大戒を重受し。盡 |
J18_0303B20: | 形壽の八齋戒を受得せらる。これより日夜法衣を脱 |
J18_0303B21: | ことなく。誓て脇席に附す。解行精修已往に倍して |
J18_0303B22: | 日新の功をはげまれたり。 |
J18_0303B23: | 師初には地薩菩薩を信敬して。常に深く二世の悉地 |
J18_0303B24: | をいのられしが。世の富貴などいふものは。人によ |
J18_0303B25: | りて害ともなるなれば。あながちに願ふべきにもあ |
J18_0303B26: | らず。さらば此世のことは貧にしてよからんには貧 |
J18_0303B27: | ならしめ。賤にしてよからんには賤ならしめ。とに |
J18_0303B28: | もかくにもただよからんやうにまもらせ給へとな |
J18_0303B29: | ん。祈念せられける。 |
J18_0303B30: | 評云。今時の人。萬事宿業の所感なることを辨 |
J18_0303B31: | ず。佛菩薩等に對して。非理の福壽を祈求するも |
J18_0303B32: | の多し。思はざるの甚しきなり。ただ萬般存此 |
J18_0303B33: | 道。一味信前縁の漢ならば。何の福壽をしも祈 |
J18_0303B34: | らんや。古人のいへることあり。學者惟恐己眼 |