ウィンドウを閉じる

J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0302A01: 學信和尚行狀記
J18_0302A02:
J18_0302A03: 師諱は學信。字は敬阿。正蓮社。行譽は。嗣法の嘉
J18_0302A04: 號なり。中頃三縁山豐譽大僧正より。華王道人の印
J18_0302A05: 章を賜り。晩年又みづから無爲と稱せらる。その本
J18_0302A06: 貫氏族はいまだ詳ならず。享保七年壬寅其月日。伊
J18_0302A07: 豫國今治近邊鳥生村に誕生す。
J18_0302A08: 伴嵩蹊畸人傳にいはく。今治の淨土宗の寺に新亡
J18_0302A09: の婦人を葬しが。其夜赤子の呱呱の聲頻に聞へけ
J18_0302A10: れば。住僧あやしみて。聲をしるべに尋ねしに。彼
J18_0302A11: 新亡の墓也しかばいそぎほりうがたしめて。棺を
J18_0302A12: ひらき見るに。男兒生れ出てありけり。住僧よろ
J18_0302A13: こび。こは我授り得し子なりとて。乳母を付て養
J18_0302A14: しに。よく生立して此和尚となりたりと記せり。あ
J18_0302A15: る人のいはく。こはもはら人のいひ傳へたること
J18_0302A16: なれどもあやまりなり。師の母姙身して。臨月の
J18_0302A17: 頃その祖先の墓に詣られしに。其墓所にてたちま
J18_0302B18: ち出生せられし也。そをかくいひ傳へたりと。いま
J18_0302B19: だいづれが是なることをしらず。このゆえにここ
J18_0302B20: にしるして異聞に備ふ。本傳その疑しきを闕のみ。
J18_0302B21: 幼にして超然として。獨群ならず。みづから塵俗に
J18_0302B22: 混ずることをいとひ。頻に出家を懇望せられしか
J18_0302B23: ば。父母その志のうばふべからざるを知りて。これ
J18_0302B24: を許せり。この時に。今治寺町圓淨寺。眞譽上人を
J18_0302B25: 師として。剃染せらる。其才智常人に勝れ。記憶こ
J18_0302B26: とに強かりしかは。見聞の人皆これを稱讃せり。さ
J18_0302B27: れば讀經誦文の勤めすみやかになりし故密寺禪院に
J18_0302B28: 遊びて。内外の典籍を學習せられけり。
J18_0302B29: 今治の近邊。桂の里といへるに。靈驗いちじるき釋
J18_0302B30: 迦如來の瑞像あり。師十五六歳の時。學業增心。道
J18_0302B31: 心堅固のためにとて。そこに參籠し。一七日を期し
J18_0302B32: て。斷食禮誦せられしこと。すべて三度なりけり。
J18_0302B33: 又左手の小指を燃として供養し。勇猛の大願を激發
J18_0302B34: せらる。

ウィンドウを閉じる