ウィンドウを閉じる

J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0254A01: へ甚深祕密を宗としながら。かく他の淺法を行ぜら
J18_0254A02: るること。いかにぞ宗祖の素意に違せざらんなど。
J18_0254A03: 申よし聞えければ。律師そのことはりを通ぜんがた
J18_0254A04: めに。本願をたのみ。稱名を修する辨といふ文を書
J18_0254A05: して。その意趣を述られける。即ち辨にいはく
J18_0254A06: 夫佛海廣シトイヘドモ。何レノ法カ迷ヲ反シ。生死
J18_0254A07: ヲ出離セシムルノ法ナラサラン。某幼年ニシテ佛門
J18_0254A08: ニ歸シ。漸ク法味ヲ餐ストイヘドモ。性質至愚ニシ
J18_0254A09: テ。唯ソノ名ニ潤テ。イマダ其源底ニ至ルコトアタ
J18_0254A10: ハズ。就中眞言敎ハ。廣ク事理ヲ張トイヘドモ。其
J18_0254A11: 旨タダ即身成佛ニアリ。然ニ予金胎ノ大法ヲ修シ。
J18_0254A12: 密灌ヲ受普ク五部ノ祕經ヲ傳トイヘトモ。我覺不生
J18_0254A13: ノ理リモソノ落著ヲ見ルコトヲ得ズ。如實知自心
J18_0254A14: モ夢海ニ望ムニ似タリ。又妙經ヲ法明ノ義瑞律師ニ
J18_0254A15: キキ。華嚴ノ松阜ノ鳳潭禪師及長時ノ湛惠和上ニキ
J18_0254A16: キ。ソノ外。倶舍。唯識。起信等ノ理モ悟ルコトア
J18_0254A17: タハズ。思フニ。某ガ愚ナルノミニ非ズ。其ノ之ヲ
J18_0254B18: 講スル人モ。唯册子上ノ義理ニユタカニシテ。ソノ
J18_0254B19: 義理ヲ去テノコトハイマタ至ラズ。指授マタ疎ソカ
J18_0254B20: ナルユヱニ。其益ナキコトヲ致ス者乎。是唯當今ノ
J18_0254B21: ミニ非ズ。在昔明惠上人。タダ名相ノ學ニ滯ルコト
J18_0254B22: ヲ歎ジタマヘリ。又予二十九歳ノ春。登壇受具スト
J18_0254B23: イヘドモ衣鉢ヲ護持スルノミニシテ。心理ノ蒙昧ニ
J18_0254B24: 至テハ。俗流ト何ゾ異ナラン。是故ニ日夜ニ之ヲ悲
J18_0254B25: ミ終ニ思ヲ定ムラク。若我心地ヲ開悟スル師アラ
J18_0254B26: ハ。千里ヲ遠シトセスシテ是ヲ求ント。幸ナル哉波
J18_0254B27: 州法常寺ノ大道禪師ハ。濟家ノ大善知識ナルコトヲ
J18_0254B28: キケリ。コレニ依テ。一切内外ノ資具ヲ放下シテ。
J18_0254B29: 投シテ之ヲ扣ク。求ル心切ニ。敎ユル人モ又反覆セ
J18_0254B30: リ。是故ニ二旬ヲ越ズシテ。旨ニ達スルコトヲ得タ
J18_0254B31: リ。則禪師ノ印可ヲ蒙ル。玆ニ依テ。生佛事理色心
J18_0254B32: 等ノ不二。阿字不生。諸法實相一成一切成等ノ法
J18_0254B33: 門。一時ニ洞解スルコトヲ得タリ。然後十又五年ヲ
J18_0254B34: フレドモ。イマダ半箇一人モ他ヲ益スルコトヲ得

ウィンドウを閉じる