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J2710 関通和尚行業記 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0236A01: 聞往生記のごとし。案ずるに師。先に老禪の敎誡に
J18_0236A02: よりて。行脚を止られてより。修行日を追て增進す
J18_0236A03: るのみならず。師僧父母へもかく孝養を遂られけ
J18_0236A04: る。實に老禪の敎誡。師においてかぎりなき巨益あ
J18_0236A05: りける。また師みづから孝道を行ずるのみならず。
J18_0236A06: 人をもをしへて孝養をなさしめ。かつ敎ていはく。
J18_0236A07: 夫孝に始あり終あり。父母をして此世に安住せしむ
J18_0236A08: るは。世間の孝なりこれを始とす。後世を安樂なら
J18_0236A09: しむるは。出世の孝にして吾道これなり。此を終と
J18_0236A10: す。孝の大なるものは。これなりと示し申されけ
J18_0236A11: る。
J18_0236A12: 西方寺に。往詣するもの日日に多かりければ。享保
J18_0236A13: 十七年の春。此寺に不斷念佛を開始せらる。此以
J18_0236A14: 後。師建立の寺院いづれも六時勤行總衆上堂。常行
J18_0236A15: 念佛番次出勤是を定式とす。師曾て其意趣を述て門
J18_0236A16: 人に示していはく。光明大師のたまはく。一心專
J18_0236A17: 念彌陀名號。行住坐臥不問時節久近念念不捨
J18_0236B18: 者。是名正定之業順彼佛願故と。しかるに今時
J18_0236B19: 遁世出家の人。はじめのほどは勇ましく念佛すれと
J18_0236B20: も。稍年月を歷ぬれば。多くは道念銷亡して佛祖の
J18_0236B21: 敎誡を護らず。世上の無常におどろかず。正業を懈
J18_0236B22: 廢して。空しく光陰をおくり。つひに此度の往生を
J18_0236B23: あやまつにいたる。われこれを悲しみ思ふにより
J18_0236B24: て。所所に道塲を營構し。遁世出家の人をあつめて
J18_0236B25: 共住せしめ。隨分の道心退轉なく。一期稱名相續さ
J18_0236B26: せしめんために。吉水大師の道塲に入りて。或は三
J18_0236B27: 時六時などに念佛すべし。もし同行などあまたあら
J18_0236B28: ん時は。かはるかはる入りて不斷念佛にも修すべし
J18_0236B29: と。のたまへる御語に順據し。六時勤行不斷念佛を
J18_0236B30: もて定規とす。もしその幼歳にして薙染し藉を敎黌
J18_0236B31: に通するの輩は。六時の勤行内陣に出て。寺規に依
J18_0236B32: 凖して禮讃誦經を兼修すべし。勤行の餘暇は。寸陰
J18_0236B33: を惜てもはら宗書を學し。傍に他家を探り。眞實に
J18_0236B34: 自家の安心を學得して。行業を策勤し。正見に佛門

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