浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J18_0236A01: | 聞往生記のごとし。案ずるに師。先に老禪の敎誡に |
J18_0236A02: | よりて。行脚を止られてより。修行日を追て增進す |
J18_0236A03: | るのみならず。師僧父母へもかく孝養を遂られけ |
J18_0236A04: | る。實に老禪の敎誡。師においてかぎりなき巨益あ |
J18_0236A05: | りける。また師みづから孝道を行ずるのみならず。 |
J18_0236A06: | 人をもをしへて孝養をなさしめ。かつ敎ていはく。 |
J18_0236A07: | 夫孝に始あり終あり。父母をして此世に安住せしむ |
J18_0236A08: | るは。世間の孝なりこれを始とす。後世を安樂なら |
J18_0236A09: | しむるは。出世の孝にして吾道これなり。此を終と |
J18_0236A10: | す。孝の大なるものは。これなりと示し申されけ |
J18_0236A11: | る。 |
J18_0236A12: | 西方寺に。往詣するもの日日に多かりければ。享保 |
J18_0236A13: | 十七年の春。此寺に不斷念佛を開始せらる。此以 |
J18_0236A14: | 後。師建立の寺院いづれも六時勤行總衆上堂。常行 |
J18_0236A15: | 念佛番次出勤是を定式とす。師曾て其意趣を述て門 |
J18_0236A16: | 人に示していはく。光明大師のたまはく。一心專 |
J18_0236A17: | 念彌陀名號。行住坐臥不問時節久近念念不捨 |
J18_0236B18: | 者。是名正定之業順彼佛願故と。しかるに今時 |
J18_0236B19: | 遁世出家の人。はじめのほどは勇ましく念佛すれと |
J18_0236B20: | も。稍年月を歷ぬれば。多くは道念銷亡して佛祖の |
J18_0236B21: | 敎誡を護らず。世上の無常におどろかず。正業を懈 |
J18_0236B22: | 廢して。空しく光陰をおくり。つひに此度の往生を |
J18_0236B23: | あやまつにいたる。われこれを悲しみ思ふにより |
J18_0236B24: | て。所所に道塲を營構し。遁世出家の人をあつめて |
J18_0236B25: | 共住せしめ。隨分の道心退轉なく。一期稱名相續さ |
J18_0236B26: | せしめんために。吉水大師の道塲に入りて。或は三 |
J18_0236B27: | 時六時などに念佛すべし。もし同行などあまたあら |
J18_0236B28: | ん時は。かはるかはる入りて不斷念佛にも修すべし |
J18_0236B29: | と。のたまへる御語に順據し。六時勤行不斷念佛を |
J18_0236B30: | もて定規とす。もしその幼歳にして薙染し藉を敎黌 |
J18_0236B31: | に通するの輩は。六時の勤行内陣に出て。寺規に依 |
J18_0236B32: | 凖して禮讃誦經を兼修すべし。勤行の餘暇は。寸陰 |
J18_0236B33: | を惜てもはら宗書を學し。傍に他家を探り。眞實に |
J18_0236B34: | 自家の安心を學得して。行業を策勤し。正見に佛門 |