浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0128A01: | るなり。又江戸崎大念寺義譽觀徹上人も。曾て師の |
J18_0128A02: | 道風を重じ給ひ。景慕のあまり。名號大小二幅。并 |
J18_0128A03: | に慈引堂といへる扁額を染筆し給はるべき由。望み |
J18_0128A04: | 遣はされけり。師ふかく辭し申されしかども。頻に |
J18_0128A05: | のぞみ給ひしゆへ。共にこれを書して進ぜられける |
J18_0128A06: | に。上人なのめならず悅ひ給ひけるとなん |
J18_0128A07: | 一師染筆授與の名號。しばしば奇瑞ありける故。諸 |
J18_0128A08: | 人願ひて奉持する者。甚おほし。多分は京都に上 |
J18_0128A09: | せ。叮寧に裱𫌏して奉持し侍る。其中御幸町姉小路 |
J18_0128A10: | 片岡某といへる褙匠の許へ誂へ遣す者多し。これに |
J18_0128A11: | 依てかの褙匠。師の德望を聞て信敬し。遙かに師を |
J18_0128A12: | 拜して日課念佛を誓約し。報恩の爲とて。先祖より |
J18_0128A13: | 家に祕重せし。慧心僧都親筆の三尊來迎の靈像一鋪 |
J18_0128A14: | を師の許。送りまいらせけり。然るに此瑞像師の禪 |
J18_0128A15: | 室に入せ給ふ前夜。師不思議の夢を感ぜられ。尊像 |
J18_0128A16: | の樣子夢の所見と聊も違はずとなん。ことさら感仰 |
J18_0128A17: | ふかかりけり。其頃相馬性澄和尚の許より。僧都所 |
J18_0128B18: | 製の來迎讃を送られけるに。師始てこれを披閲し |
J18_0128B19: | て。信敬あさからず。諸人にも念佛に嬾き折には。 |
J18_0128B20: | 此讃を諷詠して助業とすべきよし示され侍る。然る |
J18_0128B21: | に其境節にあたりて。はからず僧都手澤の來迎の像 |
J18_0128B22: | を得られし事。誠に感通の至りなりと。皆人隨喜し |
J18_0128B23: | けり |
J18_0128B24: | 臨末并に沒後の事 |
J18_0128B25: | 一師曾て伊達郡北半田小島川俣なと所所に居を移さ |
J18_0128B26: | れしかども。自行化他の勤さらに怠りなかりき。抑 |
J18_0128B27: | 師東域の化縁。やうやく盡きて。西土の本懷。まさ |
J18_0128B28: | に近づきけるにや。享保三年春の季つ方より。いさ |
J18_0128B29: | さかはづらはしくおはしけるが。遂に北半田の禪房 |
J18_0128B30: | に止まりて。終焉の思ひあり。生涯いく程ならず。 |
J18_0128B31: | 死期ちかきにありと悅ひ給ふを。聞人みなあはれに |
J18_0128B32: | たうとくぞ思ひ侍る。同秋の季より所勞日日に增氣 |
J18_0128B33: | しけれは。門弟等をのをの誠を盡していたはり奉り |
J18_0128B34: | ける。同十二月廿五日。門人を集めて。臨末の方軌。 |