浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0121A01: | して積る所也 |
J18_0121A02: | 一師享保二年九月。安達郡本宮にて瘧疾をいたはり |
J18_0121A03: | 申されしに。所勞ことに劇しかりつれども。十萬の日 |
J18_0121A04: | 課一日も怠りなく。却つて尋常よりも增修せられけ |
J18_0121A05: | り。熱甚しき折には。水にて唇をうるほしなどして |
J18_0121A06: | 勤られき。勤行の時は。杖にて佛間へも參られ。一 |
J18_0121A07: | 時も怠慢なく勤め申されき。謂つべし造次顚沛にも |
J18_0121A08: | かならずここにをいてすと |
J18_0121A09: | 一師平素。威儀質朴にして華異を好まず。よろつ人 |
J18_0121A10: | の目立べき事これなし。誓つて勞を人に施さず。口 |
J18_0121A11: | に淡薄を甘んじて滋味を嗜まず。繒纊の類ひ。かつ |
J18_0121A12: | て身にふるる事なく。資身の具。餘長を貯へす。施 |
J18_0121A13: | 財の分。何によらず固く辭して受られず。但し遁世 |
J18_0121A14: | 以前に學問料とて。少少貯へ置れし淨財を。人の許 |
J18_0121A15: | 預き置き。その利息にて形のごとくに。衣食の資縁 |
J18_0121A16: | なと計らひ申されき。これによつて萬質素にして。 |
J18_0121A17: | 儉約を守られ侍る。又勸化招待の事ありて。遠方へ |
J18_0121B18: | 出られ候にも。其路費は。いつも自分の物受用せら |
J18_0121B19: | れき。又名號なと望申者には。日課一萬五千聲の契 |
J18_0121B20: | 約にて授與せらる。渡世に抅はらさる老人。或は剃 |
J18_0121B21: | 髮入道なとの暇ある身には。二萬三萬以上の日課に |
J18_0121B22: | て授られき。かくて名號受持の者。凡三千餘人な |
J18_0121B23: | り。これらの名號の料帋筆墨まて。悉く自分の阿堵 |
J18_0121B24: | の物にて施與せられ侍る |
J18_0121B25: | 一師懇切の法友同行に參會の折にも。法話の外は急 |
J18_0121B26: | 切の事にあらされは。一向に世間物語せられす。設 |
J18_0121B27: | ひ快活の事なとある折にも。ただ莞爾として微笑せ |
J18_0121B28: | らるるのみ。いまだ曾て口を開て。訶訶大笑せられ |
J18_0121B29: | し事なし。楞嚴先德のいはく。然麁強惑業令人覺 |
J18_0121B30: | 了。但無義語。其過不顯恒障正道善應治之。行 |
J18_0121B31: | 者常於娑婆依正生火宅想絶無義語相續念佛。 |
J18_0121B32: | 光明大師の宣はく。戯咲作罪多劫受。不惜佛意 |
J18_0121B33: | 取人情と。師常にこれらの御語を深く依信せられ |
J18_0121B34: | き。師久しくとて。他方へ出られ候折にも。親しき |