浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0655A01: | 山に詣て敎化を蒙りわすれがたく思ひけるにや天文 |
J17_0655A02: | 十八年秋の頃先祖の菩提を祈り面面後世の佛種を植 |
J17_0655A03: | なん事こそ肝要なれと信心開發して一宇の梵刹を設 |
J17_0655A04: | んと相催しける折から三牧勘兵衞尉の願によりて上 |
J17_0655A05: | 人彼地にいたり給ふにいさみ悅ひ響の音に應し春雨 |
J17_0655A06: | を得て草木の榮ゆるごとく遂に堂宇を建立し上人に |
J17_0655A07: | 奉りける皆人敎化に隨て專念の一行怠りなく勤ける |
J17_0655A08: | 道塲なれは所修の行に隨て專念寺と名付給ひけると |
J17_0655A09: | なん。 |
J17_0655A10: | 嵯峨稱念寺建立の事 |
J17_0655A11: | 山城國葛野郡北嵯峨大覺寺御門跡は眞言上乘の靈塲 |
J17_0655A12: | にして開山恒寂親王と申奉るは 人皇五十三代淳和 |
J17_0655A13: | 帝第二の皇子なり天姿端正にましまして博く經史を |
J17_0655A14: | 觀てそらんじ巧に文辭を屬り殊に書を能し玉ひ古今 |
J17_0655A15: | 獨步の御方なりしとや不惑の頃におよび彌陀の像を |
J17_0655A16: | 新に彫刻ありて常に禪室に入らせ給ひ御修法あり終 |
J17_0655A17: | に西に向ひ合掌し示寂し給ひしより三十四代に當り |
J17_0655B18: | て義俊准后と申たてまつるは御父は近衞後法成寺尚 |
J17_0655B19: | 通公御母は德大寺實淳公の御息女なり天性隱逸にま |
J17_0655B20: | しまして道心内に催し至誠外にあらはれ竟に北山の |
J17_0655B21: | 麓に退去ましまし阿字觀を凝し御修行ありき吾上人 |
J17_0655B22: | 鞍馬口野中の專稱庵におはせしとき屢來臨し給ひ淨 |
J17_0655B23: | 土の安心起行の信心を聞玉ひ本願のやう稱名の大利 |
J17_0655B24: | を御領納ありしにや後にはふかく彌陀の本願を信し |
J17_0655B25: | 諸佛の證誠を仰き稱名の外他事なくつとめ給ひけり |
J17_0655B26: | 宿契のいたす所にや御歸依淺からす御殿へ數數召れ |
J17_0655B27: | 本願強縁稱佛の三縁は自餘の諸行全く比挍にあらさ |
J17_0655B28: | る事をさとし玉ひみつから稱念寺と呼玉ひにけれは |
J17_0655B29: | 世に稱念寺殿と稱し奉りける天文十九年御退去の御 |
J17_0655B30: | 殿を以て一寺建立あるへき旨仰出されける御書に |
J17_0655B31: | 云。 |
J17_0655B32: | 昨日は光臨に候心靜申承難忘存候就中稱念寺佛殿事 |
J17_0655B33: | 以面拜如申石塚越前中津右近將監野路井駿河守被相 |
J17_0655B34: | 談用所被申合候間御建立專一に候自此方返辨可申付 |