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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0618A01: 或曰張文叢林曰無住方本名後漢書或云飛
J16_0618A02: 書或云飛條是也又匿名上天子云飛章
J16_0618A03: 表文體也竇皇后記云乃作飛書以陷竦注飛書
J16_0618A04: 若今匿名書也又官者傳造作飛條注云飛條飛書也
J16_0618A05: 又匿名書亦落書也後漢ノ梁松傳ニ松怨望乃懸飛
J16_0618A06: 書誹謗下獄死ト本朝文粹十二ニ櫻島忠信落書アリ
J16_0618A07: 五言長篇ノ詩ナリ
J16_0618A08: 醍醐の乘願房宗源號竹谷は。上人につかへ。法義をう
J16_0618A09: くること多年。しかるにふかく隱遁をこのみ。道念
J16_0618A10: をかくして醫師のよしをなのり。また音律のことな
J16_0618A11: とをそ。人にはかたられける然れともその德かくれ
J16_0618A12: なくして。ある貴女御歸依ふかかりけるか。ある時
J16_0618A13: 沈の念珠を拜領せられたりけるを自愛して。この念
J16_0618A14: 珠にて。晝夜に念佛せられけるに。いまたこの人の
J16_0618A15: 事をもしらざりける修行者一人。雲居寺に通夜した
J16_0618A16: りけるか。うちまどろめるに。堂のまへに。山臥い
J16_0618A17: くらといふかずもしらすあつまりて。いひしろふ事
J16_0618B18: をきけは。いかがして醍醐の乘願房の出離を障碍す
J16_0618B19: べきといふに。一人の山臥。かの沈の念珠の由來を
J16_0618B20: かたりて。この念珠をたよりとして。出離をさまた
J16_0618B21: くへしといふとおもひて。夢さめぬ。ことさまあや
J16_0618B22: しくおぼえて。傍なる人にたづぬるに。さる人あり
J16_0618B23: といひけれは。かの庵室にたづねゆきて。ゆめの虚
J16_0618B24: 實をしらんかためにまづそこなる人に。かの念珠の
J16_0618B25: 由來をたづぬるに。たがはさりけれは。修行者奇特
J16_0618B26: の思をなして。見參にいるへきよしを案内するに。
J16_0618B27: いれて對面ありけり。修行者とかくの事もいはず。
J16_0618B28: はしりよりて。もちたまへる念珠をうばひとりて。
J16_0618B29: 火中になげいれにけり。乘願房おどろきて。ことの
J16_0618B30: 心をたづねらるるに。修行者夢の次第をくはしくか
J16_0618B31: たりて。かしこまり申けれは。いみじくよろこばれ
J16_0618B32: けり。まことしく生死をいでぬへき人をは魔界きを
J16_0618B33: ひて障碍の方便をなすこと。おそるへき事にそ侍め
J16_0618B34: る。

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