浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J16_0532A01: | 攝津國經の島につき給にけり。かのしまは。平相 |
J16_0532A02: | 國。安元の寶曆に。一千部の法華經を石の面に書寫 |
J16_0532A03: | して。漫漫たる波の底にしづむ。欝欝たる魚鱗をす |
J16_0532A04: | くはんがためなり。村里の男女。老少そのかずおほ |
J16_0532A05: | くあつまりて。上人に結縁したてまつりけり。 |
J16_0532A06: | ●攝津國經島ハ俗ニ兵庫ノ築島ト云是也平相國淸盛公攝津國八部郡福原輪田〓始築島石面書一切經即以其石得築固故號經島●平相國淸盛ハ正四位上刑部卿忠盛之一男也仁安二年二月十一日太政大臣從一位トナル時年五十歳同三年十一月十一日病ニ依テ出家ス法名淸蓮改テ靜海ト號ス養和元年閏二月四日薨ス行年六十四●安元ハ年代處處異説ス帝王編年記ニハ承安三年平家物語ニハ應保元年二月上旬ニ築始同三年三月下旬ニ成就スト應保元年ヨリ承安三年ニ至テ凡十三年ヲ經タリ明後五年安元ト改元セリ |
J16_0532A07: | 畫圖 |
J16_0532A08: | ●經ノ島ハ地理ニ注セリ十卷傳ニハ三月十八日此 |
J16_0532A09: | 島ニツキ給テ同廿一日マテ逗留シ給トアリ●平相 |
J16_0532A10: | 國ハ淸盛入道ナリ安元ハ高倉院ノ年號ナリ寳曆ハ |
J16_0532B11: | 其年曆ノ正シキヲホメテ云詞ナリ鳳曆ナト云左傳ニ |
J16_0532B12: | 同シ魏文帝祭河文ニ朕承寳曆克纂乾文●漫 |
J16_0532B13: | 漫ハ水廣大貌字彚也李白詩云一覽呑數州山長江漫 |
J16_0532B14: | 漫●鬱鬱ハナマクサキ氣ナリ字彙ニ腐臭也禮記内 |
J16_0532B15: | 則鳥皫色而沙鳴鬱ト●魚鱗ハ水中ノイロクズナ |
J16_0532B16: | リ和名鈔ニ鱗和名伊呂久須俗云伊呂古廣韻云魚甲 |
J16_0532B17: | 也蘇子瞻カ稼説ニ相尋於上如魚鱗ト |
J16_0532B18: | 播磨國高砂の浦につき給に。人おほく結縁しける中 |
J16_0532B19: | に。七旬あまりの老翁。六十あまりの老女。夫婦な |
J16_0532B20: | りけるが申けるは。わが身はこの浦のあま人なり。 |
J16_0532B21: | おさなくよりすなどりを業とし。あしたゆふべに。 |
J16_0532B22: | いろくづの命をたちて。世をわたるはかりことと |
J16_0532B23: | す。ものの命をころすものは。地獄におちてくるし |
J16_0532B24: | みたへがたく侍なるに。いかがしてこれをまぬかれ |
J16_0532B25: | 侍るへき。たすけさせ給へとて。手をあはせてなき |
J16_0532B26: | けり。上人あはれみて。汝かことく成ものも。南無 |
J16_0532B27: | 阿彌陀佛ととなふれは。佛の悲願に乘じて淨土に往 |