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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0408A01: を智明とぞつけ給へりける。常隨給仕六箇年の後。
J16_0408A02: 元久二年に本國に下向して。家の子郞從廿餘人を敎
J16_0408A03: 導して。おなじく出家せさせて同行として。酒長の
J16_0408A04: 御厨小倉の村に庵室を結て。一心に彌陀を念じ。三
J16_0408A05: 業を西方にはこびけり。世の人たうとひて。小倉の
J16_0408A06: 上人とぞ申ける。
J16_0408A07: ●正治二年ハ土御門院即位二年庚申歳也●元久二年ハ土御門院即位七年乙丑歳也●酒長御厨小倉村ハ上野國甘樂郡赤城山ノ南ニアタレリ舊史云赤城神社金橋宮天皇時磐筒雄大神鎭坐彼山ハ下野國ニ隣リテ日光山ニ相續ケリ御厨ハ禁中ノ供御神社ノ供領ニ充ラルルヲ云太神宮ノ御領鈴母御厨田公御厨禁中ノ御領船橋御厨相馬御厨此類ナリ
J16_0408A08: ●御厨ノ事地理ノ部ニ注セリ此艸菴今ニ在テ當時
J16_0408A09: ハ禪僧ノ住ケルトナン上州赤城山大明神ノ麓ナリ
J16_0408A10: トソ
J16_0408A11: 庵室の西一町餘をへだてて。一間四面の御堂を造立
J16_0408A12: して。御堂の妻戸に庵室の戸をあけあはせて。佛前
J16_0408A13: の燈明を。攝取の光明と思て。常に光明遍照の文を
J16_0408B14: 唱へ。發露啼泣しけり。具縛の凡夫なりとも。本願
J16_0408B15: を賴て念佛せは。往生うたがひあるべからさるむ
J16_0408B16: ね。上人示し給ひけるを。ふかく心府にをさめて。
J16_0408B17: 行住座臥に念佛をこたる事なし。おほよそ念佛の外
J16_0408B18: 他事をまじへざりけり。念佛せざるものをば。はぢ
J16_0408B19: しめいとひけれは。かの室にのぞむ道俗尊卑。念佛
J16_0408B20: せぬはなかりけり。或年元日の祝言に。下僧一人に
J16_0408B21: 心を合せて。庭前にすすみいてて。たからかにもの
J16_0408B22: 申さんといはせて。西方淨土より。御參をそく侍。
J16_0408B23: いそき御參あるべしと。阿彌陀佛の御使なりと申さ
J16_0408B24: せて。歡喜のあまり。客殿へ請じ入て。丁寧にもて
J16_0408B25: なし。種種の引出物をぞ給はせける。其後は年こと
J16_0408B26: の事にて。元日にはこのわざをなん結構しけり。か
J16_0408B27: の山里には鹿おほかりけれは。作毛をまたくせんた
J16_0408B28: めに。かの所の人民等。田畠に墻をしまはしてふせ
J16_0408B29: ぎけるを。あはれみ歎て。上田三町を作りたてさせ
J16_0408B30: て。鹿田と名付て。鹿の食物にあてけるにも。田歌

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