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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0164A01: 或時上人おほせられていはく。出離の志。深かりし
J16_0164A02: あひた。諸の敎法を信して。諸の行業を修す。おほ
J16_0164A03: よそ佛敎おほしといへとも。所詮戒定慧の三學をば
J16_0164A04: すぎず。所謂小乘の戒定慧。大乘の戒定慧。顯敎の戒
J16_0164A05: 定慧。密敎の戒定慧也。しかるにわがこの身は戒行に
J16_0164A06: をいて。一戒をもたもたず。禪定にをいて。一もこ
J16_0164A07: れをえず。人師釋して、尸羅淸淨ならざれば三昧現前
J16_0164A08: せずといへり。又凡夫の心は。物にしたがひてうつ
J16_0164A09: りやすし。たとへば猿猴の枝につたふがごとし。まこ
J16_0164A10: とに散亂して。動じやすく。一心しつまりかたし。
J16_0164A11: 無漏の正智。なにによりてかおこらんや。若し無漏
J16_0164A12: の智劒なくは。いかてか。惡業煩惱のきづなをたた
J16_0164A13: んや。惡業煩惱のきつなをたたずは。なんぞ生死繫
J16_0164A14: 縛の身を解脱することをえんや。かなしきかな。か
J16_0164A15: なしきかな。いかかせんいかかせむ。
J16_0164A16: ●人師釋未考遺敎經云依因此戒得生禪定及滅苦智慧小止觀云因此尸羅淸淨禪定開發等蓋依此等經釋飜轉勸勵學
J16_0164B17: 者言也
J16_0164B18: ●尸羅ハ戒法ナリ三昧ハ禪定ナリ戒ハ諸善ノ根本
J16_0164B19: 功德ノ田地也定ヲ發シ智ヲ生スルコレニ不依ト
J16_0164B20: 云コトナシ止觀第四之一ニ障道罪滅尸羅淸淨三昧現前
J16_0164B21: 止觀開發トイヘリ言ハ戒法淸淨ナレハヨク三昧ヲ
J16_0164B22: 生シ三昧生スレハ定慧平等ニ發ルトナリ群疑論第七
J16_0164B23: ニ戒根淸淨三昧現前ト●猿猴ノ枝ニツタフ譬心地
J16_0164B24: 觀經第八卷ニ見エタリ●漏ハ煩惱ノ名ナリ分ニ隨
J16_0164B25: テコレヲ離レタルヲ無漏ト云大概權敎ノ初地圓敎
J16_0164B26: ノ初住已上ニ在リ心地觀經云法寳猶如智慧利劒
J16_0164B27: 割斷生死離繫縛故第八卷ナトアテ智慧ヲ利劒ト
J16_0164B28: 云コト經論ノ中ニ往往ナリキツナハ絆ノ字也第卅
J16_0164B29: 二卷ニ注ス
J16_0164B30: ここに我等如きは。すでに戒定慧の三學の器にあら
J16_0164B31: ず。この三學のほかに。我心に相應する法門ありや。
J16_0164B32: 我身に堪たる修行やあると。よろつの智者にもと
J16_0164B33: め。諸の學者に。とふらひしに。をしふるに人もな

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