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J2310 円光大師行状画図翼賛 円智・義山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J16_0149A01: かくのごとく各をの所解不同なるを。をさへて宗宗
J16_0149A02: を十住心にあてて。淺深をさだめらるる條。そのい
J16_0149A03: ひなきことなり。諸宗のならひ。ただ經ばかりをこ
J16_0149A04: そ。淺深をも勝劣をも立たることにてあれ。いはん
J16_0149A05: や善無畏の義釋は。すてに經ばかりに約せり。又義釋
J16_0149A06: には。華嚴般若種種不思議の境界を攝すといへる
J16_0149A07: を。十住心論には唯華嚴にかぎりあやまりて。其宗
J16_0149A08: まてを攝して。般若をば覺心不生心に攝すること。
J16_0149A09: 又もちて違せり。
J16_0149A10: ●法華ノ十勝ハ法華玄義三一云攝大乘明十勝相
J16_0149A11: 義咸謂深妙使地論翻宗今試以十妙比之
J16_0149A12: 彼有所漏云云攝大乘論ハ第一卷也近クハ法華玄賛
J16_0149A13: ニ見エタリ天台ノ玄義ニハ十妙ヲ立テ廣ク勝相ヲ
J16_0149A14: 判シ爾前ノ淺劣ヲ顯ハシテ法華ノ深義ヲ廣説セリ
J16_0149A15: ●諸大乘經顯道無異トハ佛ノ説給ヘル大乘ノ諸經
J16_0149A16: 何レモ佛道ノ深義ヲ顯スニ至テハ替リメナシトソ
J16_0149A17: 大乘玄論四云諸大乘經通爲顯道道既無二敎豈
J16_0149B18: 異哉中論疏同之
J16_0149B19: かくの如きの義をもちて。ひそかに難勢をくはへた
J16_0149B20: てまつるほどに。いまは二十餘年にもやなりぬらん。
J16_0149B21: 源平の亂よりさき。嵯峨に住したりしころ夢に見る
J16_0149B22: やう。請用して他行したりける。そのあとに弘法大
J16_0149B23: 師より。きとまいらせたまへとて御使の候けると云
J16_0149B24: をききて。心におもふ樣。内内難し申ことの。きこ
J16_0149B25: えなるよなとおもへども。さあらんにつけてもと存
J16_0149B26: じて。すなはち大師の所へ參ず。五間ばかりなる家
J16_0149B27: の。板敷もなくへだてもなくて。ただ内に。よはう
J16_0149B28: にぬりめくらしたる壁の。くちもなきのみあり。大
J16_0149B29: 師はこのうちに。おはしますとおほゆ。まつ外に
J16_0149B30: て。こはづくろひをしたれば。その壁のうちより。
J16_0149B31: こなたへと仰せらるる聲あり。その御聲につきて。
J16_0149B32: 入て壁のうちを見れば。さらにその戸なし。かへの
J16_0149B33: くつれたるところのみあり。其くづれよりくぐりい
J16_0149B34: れば。大師壁のきはにおはしまして。すなはち胸を

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