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迷信

提供: 新纂浄土宗大辞典

めいしん/迷信

その時代の一般常識や共通認識に照らした場合、真実と見るのが妥当ではないと考えられる事象・事実を真実であると信じること。仏教では『大乗荘厳経論』に信のあり方の一つとして定められ「悪信」と定義されている。時代・社会・文化・環境さらには個人の価値判断によって規定されるので、その判断基準は相対的にならざるを得ない。迷信は俗信と通じるものであるが、特に社会に害を与えるような場合に迷信ということが多い。代表的な例としては、迷信が基づく四つの要素すなわち、兆・占・禁・呪を中心として、妖怪・幽霊などの怪奇現象、民間療法の中で明らかに実害をともなうもの、狐憑きつねつきのような憑依ひょうい現象などが挙げられる。それに対し、テルテル坊主を吊り下げることや、茶柱が立つのを喜ぶこと、「くしゃみは噂をされていることの証」などは、明らかに科学的ではないがあまり迷信とは言われない。また、卜占ぼくせん迷信という人は多いが御神籤おみくじなどは日常的に受け入れられており、結婚式や葬式などで六曜(大安や友引)を気にする人は多い。以上のことからも分かるように、迷信という言葉は学術用語ではなく、社会政策上もしくは社会教育上に用いられる一般的な用語である。


【参考】国史大辞典編集委員会編『国史大辞典』一三(吉川弘文館、一九九二)、小野泰博他編『日本宗教事典』(弘文堂、一九八五)


【参照項目】➡六曜


【執筆者:松野智章】