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迦才浄土論の研究

提供: 新纂浄土宗大辞典

かざいじょうどろんのけんきゅう/迦才浄土論の研究

名畑応順著。昭和三〇年(一九五五)三月、法蔵館刊。本文篇と論攷篇の二篇からなり、迦才浄土論』について書誌と思想の両面から論じた唯一の総合的な研究書。書誌面においては慶安四年版本を底本として、叡山文庫天海蔵本、常楽台蔵本の古写本、さらに金陵刻本や『安養集』『安養抄』『往生要集』等における『浄土論』の引文や経論本文との校合もおこない、当時可能な限りの良質なテキストを提供した。思想面では、出典考証や往生人伝の綿密な整理を通じて、『浄土論』の成立時期や迦才の活動地域を推考している。教義については曇鸞道綽善導懐感浄影寺慧遠等の思想を踏まえながら平易な解説を施し、さらに中国・朝鮮・日本における後世への思想影響についても言及している。


【参考】坂上雅翁他「迦才『浄土論』の書誌学的研究」(『仏教文化研究』五〇、二〇〇六)


【参照項目】➡浄土論


【執筆者:工藤量導】