列祖の回向に唱える偈文。「自信教人信じしんきょうにんしん 難中転更難なんちゅうてんきょうなん 大悲伝普化だいひでんぶけ 真成報仏恩しんじょうほうぶっとん」。『往生礼讃』初夜礼讃偈(浄全四・三六二下/正蔵四七・四四二上)に出る。自ら信じ、人をして信ぜしめることは、難しい中さらに難しいことである。大悲の心を伝えて普あまねく教化することが、真に仏恩に報ずることである、との意味。僧侶としての基本姿勢を示している。この意味から、御忌会など列祖の法要の際に回向文として用いられるほか、講演等のはじめに「開経偈」を唱えて、終わりにこの偈文を唱える。
【執筆者:加藤芳樹】