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白雲宗

提供: 新纂浄土宗大辞典

はくうんしゅう/白雲宗

宋中期以後、明の時代にいたるまで浙江省東部において隆盛した新興教団の一つ。開祖の孔清覚(一〇四三—一一二一)は禅を学び、二〇年以上の修行を経た後に杭州霊隠寺に入り、その後、白雲庵において新義を立てた。白雲宗の名称はその庵に由来する。その教えは『華厳経』を一代仏教の帰結とし、儒・道・仏の三教一致を提唱したものであった。また、持戒を重んじて葷酒肉食を禁じ、忠孝慈善を説いている。この喫斎きっさいを大事にしていたことにより信徒は白雲菜と呼ばれた。宋代には邪教とみなされてしばしば弾圧を蒙ったがその後も存続し、元代には在家教団ならではの組織力や経済力をもって大蔵経の彫印開版事業が行われている。この大蔵経は開版した白雲宗本山の普寧院にちなみ「元杭州大普寧寺大蔵経」または「普寧蔵」等という。大蔵経の普及版ともいえる普寧蔵は広く流通し、日本にも多く伝来している。


【参考】小川貫弌「元代白雲宗教団の活躍」(『仏教史学』三—一、一九五二)、竺沙雅章「元代白雲宗の一考察」(『仏教の歴史と文化 仏教史学会三〇周年記念論集』同朋舎出版、一九八〇)


【執筆者:吉水岳彦】