りち/理智
道理と智慧、あるいは道理にかなった智慧、覚りの智慧のこと。如理智、道理智も同義。理智を道理と智慧と理解すれば、道理とは覚りそのもの、智慧とは覚りを証得するためのものであるが、この二つは本質的に異ならないものと理解されている。また『華厳経疏』四六では「理智の契合を無生忍と名づく」(正蔵三五・八五三中)と述べ、理と智が合致することで覚りの境地が開けるとし、さらに『華厳経随疏演義鈔』一八では「理智はすなわち無分別智なり」(正蔵三六・一三八下)と述べて、理智を覚りの智慧そのものとしている。
【執筆者:石田一裕】