むえんしゅう/無縁集
一巻。法然述『逆修説法』の異本の一つ。安土浄厳院蔵。本書は外題だけあるが、その名の由来は明確ではない。文体は和漢混淆体。奥書がなく書写年代は確証がないが、天台の記家の手によるとみられるその特色ある字体から、室町時代前中期頃の書写本と推測される。『漢語灯録』にはない「七七日」の記載があり、本書はその導師を源智とするが、これは感西の誤りと考えられている。
【所収】伊藤祐晃『浄土宗史の研究』(国書刊行会、一九八四)、宇高良哲『〈逆修説法〉諸本の研究』(文化書院、一九八八)
【参照項目】➡逆修説法
【執筆者:安孫子稔章】